東レは6月21日、エアバスA380の一次構造部材向けに、高強度・中弾性率炭素繊維トレカ「T800S」を使用したプリプレグが認定され、同社ドイツ工場に向けて供給を開始したことを発表。東レのトレカプリプレグがエアバス社に採用されるのは、今回が初めてとなる。

今後も東レは、エアバス・グループ各社への材料開発・認定拡大を推進していく

東レは、2010年5月にエアバス社の親会社であるエアバス・グループ社と航空機用炭素繊維プリプレグの供給に関する長期供給基本契約を締結しており、今回のトレカプリプレグ材料認定もこの基本契約に基づくものとなる。

また、炭素繊維トレカは、2016年1月に初号機が引き渡されたA320neoに搭載されている、米国プラット&ホイットニー社製エンジン「PW1100G-JM」のファンケース向けにも採用されることが決定した。さらに、2017年第4四半期に就航予定のA330neoの一次構造部材にも炭素繊維トレカの採用が決定するなど、エアバス社に向けた東レの高性能炭素繊維の供給が拡大しているという。

東レは1970年代にA300の二次構造部材に炭素繊維トレカが採用されて以来、A320、A330、A350 XWB、A380など幅広い機種に向けて高品質・高機能炭素繊維を供給。今後も、次世代機を初めとしたエアバス・グループ各社への材料開発、認定拡大を推進していくという。また東レは、中期経営課題"プロジェクト AP-G 2016"において、炭素繊維複合材料事業を中長期にわたって収益拡大を牽引する「戦略的拡大事業」と位置付けている。今後も重点的に経営資源を投入することにより、航空機用途を始めとする同事業のグローバルな拡大を目指す。

なお東レは、ボーイングとも787、新型機777X向けに炭素繊維トレカプリプレグを供給する包括的長期供給契約を締結。2017年5月以降、原糸から順次生産を経てボーイング向けトレカプリプレグの供給が始められるのは、認定取得完了後の2019年を予定している。