政府はこのほど、2016年版の「消費者白書」を閣議決定した。それによると、2015年度に全国の消費生活センター等に寄せられた相談件数は約92万7,000件と2014年度を下回ったものの、以前として高い水準となった。

約1割の消費者が消費者被害・トラブルを経験

2015年1年間の消費者被害・トラブル額(消費者被害・トラブルに関する商品・サービスへの支出総額)は約6.1兆円となった。

消費者被害・トラブル額

過去1年間に購入した商品や利用したサービスについて、何らかの消費者被害・トラブルを経験したと認識している人は10.9%。「機能・品質やサービス」の質が期待よりかなり劣っていた」「表示・広告と実際の商品・サービスの内容がかなり違っていた」というトラブルを経験した消費者の割合が高い。

年齢別では、65歳以上の高齢者に関する相談件数は約24万件。前年度より約2万件以上減少したものの、依然として高水準を維持。相談内容を見ると、「商品一般」が1万6,844件で最も多く、次いで「アダルト情報サイト」が1万2,679件、「デジタルコンテンツ(全般)」が1万1,407件と続く。デジタルコンテンツなど、インターネットに関連した相談が増加する一方、金融商品に関する相談は減少した。

デジタルコンテンツ、インターネット接続、携帯電話サービス等の通信サービスに関する相談は高齢者に限らず、幅広い年齢層で大きな割合を占めている。特に、技術の高度化、サービス体系の複雑化を背景に、携帯電話に関する消費生活相談は年々増加している。

携帯電話に関する相談のうち、スマートフォンに関する相談割合が拡大した。スマートフォンから「アダルト情報サイト」などのデジタルコンテンツを利用しての「スマートフォン関連サービス」に関する相談も増加傾向にあり、2015年度はさらに増加した。これらの支払い手段として、悪質業者がプリペイドカードなどを悪用する例もあるという。