水のいらない「液体ミルク」が熊本へ届けられる

日本フィンランド友好議員連盟は4月22日、「熊本地震緊急支援 フィンランド乳幼児用液体ミルク提供プロジェクト」を発表。同連盟の働きかけで、フィンランドの乳製品メーカーが、水がなくても赤ちゃん用のミルクができる「液体ミルク」を無償提供するほか、フィンランドから熊本県への空輸に両国の航空会社が協力する。

東日本大震災でも重宝された「液体ミルク」

同プロジェクトは、超党派の衆参議員が参加する日本フィンランド友好議員連盟が、熊本県を中心とした地震の被害を受けて企画したもの。

プロジェクトが発表された会見で同連盟の会長を務める小池百合子衆議院議員は、「災害時には水やお湯がないといった理由で粉ミルクが使えない。世界各国では一般に水のいらない液体ミルクが売っているが、国内にはないため、このような取り組みをするに至った」とその趣旨を語った。

同連盟によれば、フィンランドの液体ミルクは東日本大震災の際にも活躍。フィンランド在住の日本のママたちが日本に持ち込み、非常に重宝されたという。これをきっかけに、「日本でも液体ミルクを使いたい」「非常時に活用したい」と署名運動も起きていたさなかに、今回の地震が起きた。

フィンランド企業が協力申し出

在京フィンランド大使館のミーア・ランタネン参事官もコメントを寄せた

同連盟の働きかけにより液体ミルクを無償提供するのは、フィンランドの乳製品メーカー「ヴァリオ社」だ。液体ミルクは「トゥーティ」という常温保存が可能な商品で、日本で通常市販されている粉ミルクと違い水が不要であり、そのまま乳児に与えることができる。0カ月から6カ月用のミルク(200ml)が2,880個、6カ月から12カ月用のミルク(200ml)2,310個が空輸で4月23日朝、成田空港まで届けられる予定となっている。

フィンランド国内の工場からヘルシンキ・ヴァンター空港までの輸送はニエミ社、成田空港までの輸送はフィンエアーが無償で行う。成田空港から熊本までは日本航空が無償で空輸する。通関手続きも被災地支援という目的から簡素化され、いち早い対応が可能となった。熊本に届けられた液体ミルクは、県の知事部局などを通して、支援が必要な場所へ提供されるという。

会見に出席した在京フィンランド大使館のミーア・ランタネン参事官も、「私自身も小さな子どもが2人います。フィンランド企業の小さな行為が被災者の方々のお役に少しでも立てればうれしいです」とコメントを寄せている。

同連盟は、この支援をきっかけに液体ミルクのマーケットが日本に作られることも期待しているとのこと。フィンランド支援のありがたみを感じるとともに、日本でも子育て世帯における災害時の備えについてもう一度考える必要がありそうだ。