エイケンは、4月2日よりフジテレビにて放送開始となる新作アニメーション『ぼのぼの』の本放送を前に、原作者・いがらしみきお氏×監督・山口秀憲氏×主題歌担当・モノブライト桃野陽介氏をゲストに招いての鼎談を実施した。

鼎談は、『ぼのぼの』30周年についてのお祝いからスタート。30周年という記念すべき年にアニメ化が実現した感想を求められたいがらしみきお氏は「ここ3年ぐらいグッズが売れてきていて、その反響も良かったので色気が出て、できればテレビアニメにしたいと思っていた時に、巡り合わせのように今回のアニメ化の話が決まりました。本当に嬉しく思っております。」と喜びのコメント。

その言葉を受けた山口監督は「昔から読んでいた作品なのでアニメ化することができて光栄です。ショートアニメの正味4分半という短い時間の中で、原作の魅力をどれだけ凝縮して描けるか。『ぼのぼの』ならではの"間"を如何に描けるかに拘って作りました」と恐縮しながら語る。

続いて、本編映像を見た感想を問われたいがらしみきお氏は、「こういう世界なんだな、監督が最初の打合せで話をしていた子供向けにしないと言っていた意味がストンとわかりました。原作の漫画でも大切にしている余韻ですが、アニメも毎回余韻をもたせて終わっている。それは面白いと思います。どういう風に受け取られるのか。それが楽しみです。」と語ると、桃野氏も同意し「僕も見た時に、漫画を読んでいる時の、自分の中での『ぼのぼの』と同じ"間"のイメージで見ることができました。すごく良い意味で、説明がないというか、その世界観をこだわって作ったなぁという感じがして、僕は楽しかったです。」と山口氏が拘って作っている"間"について絶賛し、いがらしみきお氏は更に、「漫画を描いている時に自分の中にある『ぼのぼの』の世界が、アニメを見た時にものすごく柔らかくなっている。色もそうですが、綺麗でソフトな感じでした。」と語った。

また、主題歌について問われると桃野氏は、「物心ついたときから『ぼのぼの』という作品がありました。僕の中では歴史的なものに歌をつけるというのは、例えて言うなら、奈良の大仏に曲をつけるようなものですね」とプレッシャーを覗かせつつも会場を笑わせ、更に「拘ったことは、子供目線になるのではなく、子供の気持ちになって歌う事ですね。」と語ったのを受け、いがらしみきお氏は「ボーカルの声がいい声で大好きだった。監督も私も一発で気に入りました」と語り、山口氏も「楽曲を聴いてエンディングの絵もすぐに浮かびました」と振り返った。

最後に『ぼのぼの』放送に向けてのメッセージを求められると、桃野氏は「今回、『ぼのぼの』というアニメの主題歌ということで、僕が生まれ育ったのは北海道の根室市というところで、ラッコ、シマリス、アライグマがいる、リアルな『ぼのぼの』の世界観がありました。原体験に近い作品に関われたという事で、やっと自分らしさが出せたという思いがあります。隠すわけではないけれど、ロックバンドだと、牧場の息子というような生活感をあまり表に出すことはない。こんなに自分らしい作品に関われたということで嬉しいですね。ぜひ曲も合わせて愛して欲しいです。よろしくお願いします」と原体験を交えて心情を語ると、山口氏は、「自分が大好きだった漫画作品を手がけられること関われる幸せをかみしめています。このアニメは、とにかく見て面白かったと言ってもらえる作品にしてゆきたい。毎回それが続いて、今週も面白かった、になる。1回見逃したからといって、もう見なくていいやとか、そういう番組ではなく……久しぶりに見ても楽しいと思ってもらえるような作品にしたいと思います。そして原作に負けないくらいすごく長いシリーズにしてゆきたいです。よろしくお願いします」と作品への意気込みを語り、いがらしみきお氏は、「『ぼのぼの』30周年ですが、今はまだ何ができるのか具体的に考えてはいません。監督がおつくりになった『ぼのぼの』を世間の方が観ることで生活の潤いになるなら、嬉しいです。我々の希望はそれですね。皆さんの潤いになりたいと思います」と思いを明かし、鼎談を締めた。

原作者・いがらしみきお氏

山口秀憲監督

モノブライト・桃野陽介氏

TVアニメ『ぼのぼの』は、2016年4月2日(土)より毎週土曜日4:52からフジテレビにて放送開始となる。そのほか詳細はアニメ公式サイトにて。

(C)いがらしみきお/竹書房・フジテレビ・エイケン