ドイツのアウディAGはこのほど、「Q7」シリーズ初のSモデル「SQ7 TDI」を発表した。世界初の電動コンプレッサーを採用して最高出力435PSを発揮するディーゼルエンジンや、電動でセッティング変更するスタビライザーを搭載する。

アウディ「SQ7 TDI」

「SQ7 TDI」に搭載されるのは、ゼロから新開発された4.0リットル、V型8気筒のTDIエンジン。2基のターボチャージャーを搭載し、低中負荷領域では1基だけが、高負荷領域では2基のターボチャージャーが加給を行う。これに追加して電動式コンプレッサー(EPC)も搭載され、低回転域でターボチャージャーの働きを補足する。これにより、435PSの最高出力と900Nm/1,000~3,250rpmの最大トルクを実現。市販モデルの中で最もパワフルなディーゼルSUVとなった。

EPCは非常に多くの電力を必要とするため、48ボルトのサブ電源システムからパワーが供給される。この高電圧の電源システムを採用することで、EPCのほか、エレクトロメカニカル アクティブロールスタビライゼーション(EAWS)システムの搭載も可能となった。このサブ電源システムにはリチウムイオンバッテリーが採用され、ラゲッジコンパートメントの床下に搭載している。

EAWSは小型電気モーターによりスタビライザーが2分割された構造で、クルマが不整地を走行すると、左右のスタビライザーが切り離され、乗り心地が改善される。一方、スポーティに走行する場合には、スタビライザーが連結され、ねじれに対する反発力を発揮することでボディロールを減らし、コーナリングの限界を高める。従来型の油圧可変式のスタビライザーと比較して、EAWSはより大きなパワーを発揮し、より作動が速く、低速においても確実な作動が実現され、オイルを必要としないためメンテナンスフリーとなっている。

「SQ7 TDI」は2016年春からヨーロッパでオーダー受付が開始される。ドイツでのベース価格は8万9,900ユーロとなっている。