NECは7日、長岡技術科学大学と協力し、人間の耳穴の形で決まる音の反響を利用したバイオメトリクス個人認証技術を開発したと発表した。顔認証や指紋認証と同じ、新たな個人生体認証技術として、2018年度中の実用化を目指す。

耳の各部のサイズや形状は人によって異なるため、個人の判別に有効だという。今回開発した技術では、マイク一体型イヤホンを耳に装着し、耳の穴で反響したイヤホンの音をマイクで収集。耳の形状によって決まる、個人の判別に有効な特徴量の音響特性を抽出する独自技術により、1秒程度の短時間で、99%以上の高精度な個人認証を実現する。

測定イメージ。実験により、外耳道を通って鼓膜で反射して返ってくる音響信号成分と、鼓膜を通過してさらに奥で反射して返ってくる音響信号成分が、個人の判別に重要であることがわかったという。この2種類の信号成分に対応する周波数帯を含む少数の特徴量を抽出し、個人認証に利用する

指紋や虹彩、顔認証などと異なり、認証用機器に体の一部をかざすなどの動作が不要になるため、移動中や作業中でも、マイク一体型イヤホンを装着するだけで個人の認証が可能となる。

同社では、重要インフラ施設の保守・管理や警備、無線通信・通話内容の秘密保持、医療現場や移動中での認証、特定の場面での音声ガイドサービスなどへの応用を視野に、2018年度中の実用化を目標とする。

個人により耳穴の音響特性が異なる