ウェルクスは、主に保育の現場で働く190人を対象に「厚労省の保育士確保対策」についての調査を実施した。調査期間は12月18日~24日。

「就職準備金の貸付」などには半数が疑問視

現在、約50万人分の保育の受け皿を確保するために、9万人ほどの保育士の確保が必要と言われている。深刻な保育士不足問題を解消するため、厚生労働省は緊急対策案を打ち出すことを発表した。

対策案の内容は、潜在保育士の囲い込みを目的とした就職準備金の貸付や、就業する保育士の子どもが優先的に保育を受けられる仕組み作り、新しい保育士確保を目的とした資格取得への支援、離職防止を目的とした事務負担軽減など。

就職準備金の貸付および、一定期間の勤務による返済の免除は、保育士確保に効果があると思うか尋ねたところ、「あまり効果はない思う」が45.9%、「まったく効果はないと思う」が7.6%で、効果を疑問視している人が半数を占めた。「大きな効果があると思う」は2.9%、「ある程度の効果はあると思うは20.6%となっている。

就職準備金の貸付および、一定期間の勤務による返済の免除は、保育士確保に効果があると思いますか?

続いて、優先的に近隣保育所に入れる仕組みや保育料の軽減制度を設けることは、保育士確保に効果があると思うか聞くと、42.1%が「ある程度の効果はあると思う、13.2%が「大きな効果があると思う」と回答した。一定の割合で効果があるのではないかと考える人が55.3%と半数以上を占めた。

優先的に近隣保育所に入れる仕組みや保育料の軽減制度を設けることは、保育士確保に効果があると思いますか?

働きながら保育士資格が取得できるように、園に対して貸付を行い、無資格者雇用を後押しするという対策案については、37.4%が「あまり効果はないと思う」、16.3%が「まったく効果はないと思う」となり、やや効果を疑問視する声が多かった。

働きながら資格取得支援を後押しするため、保育ママなどを補助員として雇う保育園に貸し付けを行うことは、保育士確保に効果があると思いますか?

業務管理ソフトなどの導入を促進することで、業務の効率化を図る案について聞くと、「大きな効果があると思う」(5.6%)、「ある程度の効果はあると思う」(20.6%)に対して、「あまり効果はなとい思う」(33.9%)、「まったく効果はないと思う」(18.3%)となった。

自身がこれから保育士を目指す場合、あるいは潜在保育士の立場だった場合、今回の緊急対策案があることで、保育の仕事に就こうと考えると思うか聞くと、「就こうと思う」は4.1%、「どちらかと言えばそう思う」は14.4%で、2割に満たなかった。

今回の緊急対策案があることで、保育の仕事に就こうと考えると思いますか?

一方で「あまりそう思わない」(41.2%)、「まったくそう思わない」(35.6%)を合わせると76.8%で、約8割は対策案全体が、保育士確保にあまりつながらないのではないかと考えていることがわかった。

自由回答では「現在働いている保育士の待遇面も改善しないと、どんどん潜在保育士が増える」「一時的な対策より先を見据えた対策でないと話にならない」「保育士に対しての優遇策や給与面での対策がなされてないのは遺憾」といったコメントが寄せられた。