日本人の暮らしの中で、大切な役割を果たしてきた風呂敷。物を包むだけではなく、物を贈る相手への心づかいだったり、自宅にある調度品を覆ったりと、幅広く使われていました。さらに日本人は、この風呂敷に柄を入れ、数多くの意味を持たせてきました。それは、物を受け取る相手へメッセージを伝える意味もあったそう。実用性だけではなく、気づかいを重んじる、日本らしい一品ですね。ここでは、そんな風呂敷の代表的な柄と、その意味を紹介します。

かまわぬ

「かまわぬ」は、判じ物と呼ばれる種類の柄です。判じ物とは、文字や絵にある意味を隠して、それを当てさせるようにしたものです。「鎌(かま)」と「輪(わ)」、そして「ぬ」の当て字で「かまわぬ」と読みます。七代目市川団十郎が愛用した柄として有名になりました。

市松文様

格子文様の一種で、二色の正方形を交互に配した文様のことです。江戸時代の歌舞伎役者、初代佐野川市松という歌舞伎役者が、袴(はかま)の柄に使用してその名がついたと言われています。現代でもよく使われますが、古来より工芸品から染織品、室内装飾にも愛用された文様です。

唐草文様

つる草が四方八方に伸びてからみあう文様です。どこまでも伸びていくツタの様子は、まさに生命力の象徴。一族の繁栄や長寿を意味する、縁起がよい吉祥文様として愛されました。

麻の葉

幾何学文様が麻の葉に似ていることから、この名がつきました。丈夫でどんどん伸びていく様から、子供が健やかに成長するようにという意味があります。

鱗(うろこ)

この柄は、竜や大蛇の鱗に見えることから名付けられました。怖いものの象徴である龍や大蛇を表し、「魔除け」「厄除け」の意味でも使われてきました。

青海波

雅楽の曲の名前から名付けられた柄と言われています。海の波を表した文様で、海の恵みと、ずっと続く波の様子から、平穏や幸せが途切れることなく続くよう願うという意味があります。また、漢字の「八」に見えることで、末広がりの縁起の良さも表現されています。

いかがでしたか? 幸せを祈る吉祥文様から、判じ物のような面白みのある文様まで、風呂敷の柄はたくさんの側面を持っています。これらの柄をどう選ぶか、と考えるのも楽しみですね。

意味を持った風呂敷を使用すれば、包んだ物の価値もグッと引き立ちます。何度も使用できるエコグッズでもありますので、ぜひ生活に取り入れてみてください。

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