コツコツ貯める……のではなく、もっとお得に賢く教育資金準備を

オール国公立でも子ども1人当たりの平均教育費は1,000万円はかかるという状況において、子どもがいるファミリーは教育資金の準備が欠かせません。子どもが小さなときからコツコツ積立貯蓄をしたり、学資保険に加入する方法もありますが、運用してお金を殖やすことも考えてみましょう。来年からは教育資金作りの1つとして、ジュニアNISAの利用も検討してみてはいかがでしょう。

大学資金、私立理系では788万に

教育資金の中でも一度に大きな出費が必要となるのが、大学入学前後にかかる費用。大学の入学金や在学費用、自宅から通えない場合は仕送りの費用がかかるだけでなく、受験料や受験のための交通費や宿泊費、そして入学しなかった学校への納付金なども必要です。

日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査・平成26年度」によると、国公立大学の入学費用(受験費用および入学しなかった学校への納付金を含む)が83万2千円、私立文系で104万3千円、私立理系になると109万9千円という状況。これに4年間の在学費用を加えると、国公立で511万円、私立文系が692万円、私立理系では788万円も必要になるのです。

4年分の在学費用をすべて大学入学前に準備しておく必要はありませんが、入学費用と1年間の在学費用分は18歳までに用意しておきたいもの。0歳から積み立てを始めるとしても、現在の定期預金の利率が0.2%前後という現状では、18歳時に788万円を準備するためには毎月約3万6,000円を積み立てなければなりません。もちろんマイホームや老後資金などの他の資金作りもするためには、もっと効率的な運用も取り入れながら準備をすることが必要ですね。投資する株式や投資信託などの銘柄、また売買の時期などによりますが、より高利で、かつ約20%分の税金を非課税にすることで、より効果的に運用できればいいですね。

そこで、来年から始まるジュニアNISAの活用を検討してみましょう。NISA(少額投資非課税制度)が開始されて約2年が経ちますが、ジュニアNISAはこれの未成年版。0歳~19歳の未成年名義で口座を開設し、親権者が代理で運用管理をする少額投資非課税制度です。最大5年間、NISAの投資枠内で運用して得られる譲渡益、分配金・配当金に対して税金が非課税になるのは大人版と同じですが、ジュニア版の場合、年間80万円まで非課税で投資可能です。本来、上場株式等の譲渡益や配当金にかかる税率は20.315%なので、それだけでも高いメリットを享受できることは想像がつくでしょう。

また、ジュニアNISAには払出制限が設けられており、災害等やむを得ない事情でない限り、3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日まで払い出しできません。つまり、ジュニアNISAで運用した資金を利用できるのは、大学入学前後にかかる費用などの、一度にまとまったお金を用意しなければならないとき。つまり、教育資金の準備に適しているということなのです。

ジュニアNISAの口座開設は2016年1月から開始されますが、口座開設の申し込みはすでに各金融機関で開始されています。NISAもジュニアNISAも、証券会社や銀行、郵便局などで口座を開設できますが、金融機関によって投資できる金融商品やサービス、手数料などは異なります。特にジュニアNISAの場合、いったん口座を開設するとその後の金融機関の変更はできません。口座開設の申し込みをする前に、複数の金融機関で比較確認してから申し込みをしてください。

※画像は本文と関係ありません。

著者プロフィール

武田明日香
エフピーウーマン所属ファイナンシャル・プランナー
南山大学経済学部卒業後、大手印刷会社に入社。2010年に、法人営業の仕事をしながら自己啓発のためにファイナンシャルプランナーの資格を取得。「女性がライフステージで選択を迫られたときに、諦めではなく自ら選択できるための支援がしたい」という想いから、2013年にファイナンシャルプランナーに転身。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく!トラベル!」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。
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