国土交通省は11月17日、羽田空港機能強化方策の具体化に向けた取り組みの進捗を発表。7月から9月にかけて実施した住民への第1フェーズの説明会では、10月15日までに総数約5,900件の意見があり、12月11日からは住民等からの意見を踏まえた第2フェーズの説明会を各地で開催する。

第1フェーズ説明会の様子(江戸川区船堀会場)

羽田空港の機能強化・国際線増便は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを円滑に開催すること以外にも、訪日外国人を呼びこむことで日本全国の経済活性化、首都圏の国際競争力の強化、また、国内線と国際線を結ぶことで地方活性化等を目的にしている。

そのための方法として、運用時間を限定して都心上空をゆく新飛行経路を設定すると、1時間当たりの発着回数を現行の80回から90回まで増やすことができるという。深夜・早朝時間帯以外の国際線に関しては、年間約6万回の現状から2020年には年間約9.9万回と、最大で年間約3.9万回(約1.7倍)の発着回数の増加が可能になる計算となる。この新飛行経路は都心上空となるため、国土交通省は説明会を通じて騒音や安全対策も含めた今後の取り組みを説明し、一般から意見を求めてきた。

新たな飛行経路案と第2フェーズ説明会の開催場所

第1フェーズの説明会は7月21日~9月15日にかけて、説明パネルの展示とあわせ担当者が参加者の質問に対して説明するとともに意見をとりまとめる「オープンハウス型」で実施した。東京都・神奈川県・埼玉県の16会場で行い、約6,000人が訪れたという。

第1フェーズの説明会で一般から寄せられた約5,900件の意見は、「羽田空港国際線増便の必要性」「実現方策と課題への対応方策(対策や運用方法の工夫等)」「進め方(全体)」の観点から意見数の多寡に関わらず、意見要旨としてホームページ上で公開している。

それらの意見の中には、羽田空港の機能強化に期待する声がある一方で、「羽田空港に集中させるよりも、茨城空港や静岡空港など周辺の地方空港を活用してほしい」など羽田空港以外の利用を希望する声や、「機体の大型化を進めれば、新飛行経路を使わなくてもよいのではないか」など新飛行経路に対する疑問も寄せられている。

課題への対策として、新飛行経路の運用時間短縮や新飛行経路によって問題視される騒音対策の声も多く、「新飛行経路運用開始後も継続的なモニタリングをして、環境の変化を調査してほしい」などという要望も寄せられていた。また、今後増便される国際線に関しては、海外の航空会社に対する安全基準の設置やテロ対策の強化を求める声もあがっていた。

第2フェーズにおいては、第1フェーズ説明会と同様の場を設けるほか、双方向の対話ができる環境も整えるという。また、特設ホームページや特設電話窓口等でも意見を常時受け付けている。第2フェーズ説明は12月11日~2016年1月31日にかけて、土日曜日・祝日も含めた日程で実施する。