俳優の坂口健太郎と英勉監督が7日、都内で行われた映画『ヒロイン失格』(9月19日公開)のトークイベント付き試写会に出席し、撮影秘話を語った。

坂口健太郎(左)と英勉監督

漫画誌『別冊マーガレット』(集英社)で連載され、累計160万部(全10巻)を突破した幸田もも子氏の同名コミックを原作に、『高校デビュー』(2011年)などで知られる英監督がメガホンを取った本作。自らを"彼のヒロイン"だと思い込んでいる暴走ヒロイン・はとりを桐谷美玲が演じ、クールな幼なじみの利太(山崎賢人)、学校一のモテ男・弘光(坂口健太郎)の三角関係によるロマンチックコメディーが描かれる。

「弘光ってキザでカッコ良い男の子なんですけど、『僕がここまでカッコ良い役を…』って最初はビックリしました」と出演オファーに戸惑いもあったという坂口。「(僕は)あんまりカッコ良いタイプじゃないので」と恐縮すると、英監督がすかさず「いやカッコ良いですよ。あんたがカッコ悪かったら誰がカッコ良いねん!」とツッコミを入れ、会場の笑いを誘う。

坂口は人気キャラのプレッシャーを感じながらも、弘光を「軽い男の子」「チャラい男」「ただの二枚目」なキャラクターにはしたくないと考え、英監督もその内面の魅力を演出しようと模索。他のキャストとの距離感にも気を配り、桐谷の顔に急接近するシーンをあえて多く入れたのもその一環だったという。

桐谷といえば、アメリカの映画サイト・TC Candlerが毎年発表している「世界で最も美しい顔100人」で昨年、日本人最高位の8位にランクインするなど"美顔"の持ち主。その顔と至近距離での芝居は緊張も伴いそうだが、坂口は「そんなに(緊張)しなかったですね」「役的にガシガシいくシーンもあったので」と俳優然とした感想。英監督と共に「どれだけ顔を近づけるか」「近づく時は近づく、遠ざかる時は遠ざかる」などのテーマを掲げ、役柄になり切った。

桐谷を巡って坂口、山崎それぞれのツーショットシーンが同日に行われたこともあった。坂口と山崎は劇中で恋のライバル関係にあるが、英監督は「2人ともあまり帰らなかった。お互いのカッコ良いシーンをよく見ていた」と振り返り、現場ではあえて「今日は弘光がリードしてるよ」「利太が巻き返してきたよ」と伝えていたという。坂口は「僕も『負けない!』となって」と役柄同様にライバル心をあおられたことを認めつつ、完成した作品を見た際には「やっぱり、利太はめっちゃ良いやつ」と実感。利太の魅力にすっかりハマった様子で、「ゾクゾクしました」と当時の興奮を伝えた。

撮影を通じて、より心を通わせたメインキャストの3人。坂口と桐谷のシーンでクランクアップを迎え、すでに夜中だったが現場にいなかった山崎はビデオ通話・FaceTimeを通じて3人で一本締めを行った。英監督はその光景を思い浮かべて目を細めながらも、「でもタイムラグあるから『せーの、ポン!』ってやって、賢人くん1人だけ遅れちゃってるんですよね」とオチをつけ、再び観客を笑わせていた。

映画『ヒロイン失格』場面写真 (C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社