予想外の切り下げ!

中国は、2015年8月11日、12日と2日連続で中心レートを引き下げ、人民元の実質的な切り下げを実施しました。

予想外かつ大幅な切り下げだったため、中国との関連が高い銘柄や世界の株式市場も下落しました。

そもそも「切り下げ」って何?

そもそも、人民元を切り下げるとはどういうことなのでしょうか?

例えば、日本円は市場で自由に取引されている「変動相場制」を採用しているので、日々米ドル・円やユーロ・円は変動します。

一方、中国は取引を規制して一定の範囲内に為替レートを導く「管理変動相場制」を採用しています。

為替レートを市場メカニズムに任せるものの、その国の政府・中央銀行が介入して為替レートを管理するのです。

中国では毎朝、人民元レートの基準値となる「中心レート」を発表し、当日の相場変動をこの中心レートから上下2%の間に値幅を制限します。

中国人民銀行が中心レートを引き下げて人民元安に導いたのが、今回の人民元の「切り下げ」です。

切り下げの背景とは?

今回の切り下げは、輸出の下支えが目的と思われます。

中国の7月の輸出が前年同月比-8.3%と大幅に下落したその理由として人民元高になっていたことが挙げられています。

「世界最大の輸出国」である中国経済にとって人民元高はマイナス要因であり、逆に人民元安はプラス要因になります。

今回の切り下げによって人民元安になれば、短期的な輸出の回復が期待できるかもしれませんが、副作用も多そうです。

中国だけでなくアジア通貨安や資源価格の下落など他国に及ぼす影響も多そうです。

今年は何かとお騒がせな中国、当面目が離せそうにありません。

人民元レート(対米ドル)の推移(日次、期間:2009年12月末~2015年8月12日)

(出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成)

●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ボンジュール」からの転載です。