東芝は3日、北海道・釧路市・白糠町と連携し、水素の製造から利用までのサプライチェーンを構築する実証実験を釧路地区で開始すると発表した。実験期間は2015~2019年度の5年間。

水素を製造し、酪農施設の燃料電池などに利用

同実証実験は、環境省が公募した「2015年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」で、同社が提案した「小水力由来の再エネ水素の導入拡大と北海道の地域特性に適した水素活用モデルの構築実証」が採択され、開始されるもの。

北海道白糠郡白糠町にある庶路ダムに小水力発電所を建設し、そこで発電した電気を使い水電解水素製造装置で水素を製造する。製造した水素をトレーラーで貯蔵・運搬し、酪農家・温水プールなどの施設に設置される燃料電池や燃料電池自動車の燃料として利用する。寒冷地域である北海道では熱利用が多く、燃料電池で供給する電気とお湯の両方を最大限に活用できるという。

実証実験のイメージ

燃料電池は、水素と空気中の酸素を利用して、水の電気分解の逆の化学反応により直接電気へ変換し発電するシステム。電気を使う場所で発電するため、送電で無駄が発生しないほか、従来の発電方式では廃棄していた発電の際に発生する熱もお湯として利用できる。

同社は、再生可能エネルギー資源が豊富な北海道は、CO2フリーの水素サプライチェーンの構築に適した地域だと考えており、北海道が設置した「北海道水素イノベーション推進協議会」と連携し、道内における水素社会の推進に取り組んでいる。