和歌山電鐵「たま」駅長の死後、最初の休日となった27日、貴志駅に多くのファンらが駆けつけた。28日12時30分から、貴志駅コンコースにて社葬が営まれる。

和歌山電鐵貴志川線の終点、貴志駅に「たま電車」が到着

2007年、全国初となる民営鉄道会社の猫駅長に就任して以来、国内外から人気を集めた「たま」駅長。今年4月に16歳(人間年齢で80歳)の誕生日を迎えたが、その後体調を崩して治療に入り、6月22日に急死したという。Twitterアカウント「駅長たま」にて、25日に「ワタクシ、一昨々日、天国行きの電車に乗車いたしましたにゃんご! 到着しましたら、ご連絡致しますにゃんご!」とツイートされた。

貴志駅は2010年、猫の顔に見える檜皮葺きの屋根を持つ駅舎に生まれ変わった

「たま」駅長が勤務した貴志駅では、駅舎内に献花台が設置され、多くの花束とともに地元小学生による「たま駅長 天国でも見守ってね」の寄せ書きも。27日は「たま」駅長のファンや鉄道ファンなどが多く集まり、海外から団体観光客も訪れ、終日混雑しているようだった。和歌山電鐵の関係者らも対応に追われ、駅利用者から「大変ですね……」と声をかけられる場面も見られた。

貴志駅の駅舎は、「たま」駅長がモチーフの「猫の顔に見える駅舎」として知られる。同駅では現在、「たま」駅長の部下だった「ニタマ」が駅長代行を務めており、駅周辺が混雑する中でも動じることなく、ときどき居眠りすることも。目を覚ました後も落ち着いた様子で、早くも「たま」駅長の後継者と呼ぶにふさわしい風格を漂わせていた。

和歌山電鐵貴志川線(和歌山~貴志間)では、従来車両をリニューアルした「いちご電車」「おもちゃ電車」「たま電車」が活躍中。27日も通常通り運行され、「たま」駅長をモチーフにデザインされた「たま電車」が貴志駅に到着すると、列車を前に記念撮影する姿も見られるなどにぎわいを見せた。「たま」駅長がいなくなっても、「たま電車」や「猫の顔に見える駅舎」により、生前の活躍が長く語り継がれることを予感させた。

28日の社葬では、関係者以外の斎場(貴志駅コンコース内)への入場は不可だが、斎場の外に一般利用者向けの大型モニターを設置するとのこと。駅前は公道で駐車場もないことから、「電車利用の送迎等を除き、駐停車はご遠慮ください」と和歌山電鐵は発表している。なお、「ニコニコ生放送」では同日、「たま」駅長の社葬を生中継する予定だ。