整体師のりょうです。肩こりというと、「もむ」「たたく」という解消法が最初に浮かびます。残念ながら自分でこの2つをするのは難しいですが、実はそれがラッキーなのです。なぜなら、肩こり解消のためにやってはいけないことが、この2つだからです。
「もむ」「たたく」は逆効果
もんだりたたいたりすると、筋繊維が壊れるケースや、血行不良の原因につながるケースがあります。肩こりを解消したいのに逆に悪化させてしまっては、何にもなりませんよね。自分でする肩こり解消法は、ストレッチが最良です。
しかも肩こりの原因は肩にないことが多く、肩甲骨や腕にも原因があることをこれまで書いてきました。そして今回は、首にも原因があることをぜひ知ってほしいです。
肩こりと首こりは、大いに関連あり
ご存じの通り、肩には腕がぶら下がり、その上には首が乗っています。構造的に考えると、肩に負担がかからないわけがないのです。肩こりと首こりは言葉が違うのと同様に、全く別の症状と思えますが、私はいつも関連して考えています。首の上には約3~5kgとも言われる頭が常に乗っていて、絶対に下ろすことができません。ですからこの首をリラックスさせることができれば、肩こりを解消することができると考えます。そのため、本当は教えたくなかったオリジナルストレッチをこれからご紹介しましょう。
極秘ストレッチの極意は「首の力を抜く」
まず、両ひじを立てて上を向いて寝転びます。このときはまだ首に力が入った状態になっています。ゆっくりと天井を見るように首を動かしてから、一気に首の力を抜きます。このとき、後頭部が肩甲骨の間に入りこむようなイメージです。実際には入りませんが、そのようなイメージをすることが大切です。この際、「首が垂れる」という言葉がピッタリな格好になるのですが、肩には力を入れず、腕には程よく力が入ることになります。呼吸はゆっくり行ってください。絶対に止めてはいけません。
20~30秒程度しましたら、両ひじを前へ抜いて、ベタっと寝転ぶようにして終了です。終わるときに、首を持ち上げて起きあがることは絶対にしてはいけません。首を起こすために大きな力を必要とするため、首を痛める可能性があります。ご注意くださいね。
写真を見ながら順にもう一度説明しましょう。
写真で見ると大きなしぐさがないので簡単なように見えますが、実はとても難しいです。「首の力を抜く」のがうまくできない人が多いので、ひじを片方ずつ使って行う方法も考えてみました。
片方ずつ行えば、簡単にできる
まず右ひじを立てて、斜めに寝転びます。ゆっくり天井を見たら、一気に首の力を抜きます。後頭部が肩甲骨に近づくようイメージし、同時に耳が肩に近づくようにもイメージします。決して肩に力を加えてはいけません。首がリラックスできるよう、肩も力を抜いてください。ただ、腕には程よく力が加わります。
両ひじで行ったときと同じように、呼吸を止めずゆっくり行い、20~30秒程度したら終了します。首を戻すときは、無理のないようにゆっくり起こすか、ひじを抜いて寝転ぶようにします。
写真を見ながら順にもう一度説明しましょう。下の写真は、分かりやすくするために両面から撮影しました。
首の力を抜いたとき、ゆったりと呼吸しながら、首がリラックスしていることを確認できたらうまくできています。最初は難しいかもしれませんが、慣れると簡単にできます。右が終わりましたら、左も同様に行ってください。
ストレッチは形ではありません
今回は「イメージする」という言葉を多用しました。私がいつも言うことなのですが、「ストレッチは形ではなく、イメージが大切」です。一人ひとり身体は違いますから、形を同じにすることは不可能です。ヨガで身体を壊したり続かなかったりする人は、形を追求しすぎることに原因があります。
ストレッチとは自分に合った程度に筋肉を伸ばし、力を抜くことです。どこが伸びているのか、どこが抜けているのか、イメージすること(想像すること)が一番大切と覚えておきましょう。
著者プロフィール
鮎川 良
奈良県の学園前にて「RYO整体院」を営む整体師ランナー。整体師だからこそ分かる身体のメカニズムを基に、ストレッチの重要性を説き、クリニックも開催する。ストイックにタイムを追求するよりも、健康で楽しいマラソンライフを提案。筋肉痛になりにくい身体作りや疲労回復のケア方法、自身が提唱する疲れにくいランニングフォーム「エンジョイラン走法」で、フルマラソン走破を目指す人のサポートをしている。著書に『がんばらないで楽に長く走る』(学研パブリッシング)がある。また、累計268万アクセス超の人気ブログ「整体師に学ぶ~マラソンによる筋肉痛改善方法と、フル完走ノウハウ」も執筆している。