整体師のりょうです。「肩こりは肩がこるからつらい」と考えている人が多いと思いますが、実はその間違いに気づいた人から早く解消することができます。皆さんがよく知っている「肩」という部分に触りもしないで、肩こりを解消することも可能なのです。

肩甲骨は"健康骨"と書いてもいいかも?

私の整体院にも肩こりで困ってらっしゃる人がたくさん来られます。そして、その大半の人が「そんな所がこっていたのですね! 」と驚かれます。肩こりだからといって、肩に原因があるとは限らないのです。すなわち、肩ばかり押したりもんだりしても、こりが100%解消されるわけではないということです。

肩こりを理解する上で、まずは「肩甲骨(けんこうこつ)」という骨があることを知ってください。下の写真に赤い線で囲みました(私の裸写真で恐縮です)。

逆三角形のような形をした肩甲骨が2つ

だいたいの位置ですが、背中に2つ、逆三角形のような形をした肩甲骨がありまして「肩を動かす」「腕を動かす」などの際に活躍してくれます(私はなで肩なので外へ下がっています)。

この肩甲骨をご自身の意思で動かすことができれば、肩こりの解消にとても役立ちます。そのためにもまず位置を知り、どのように動くのか試してみましょう。ただ、自分では見えない位置だけに、想像力がいります。もし想像力に自信の無い人は、他人の背中を観察するとよく分かります。肩こりの人はこの肩甲骨の動きが悪くなっている人がとても多いですから、しっかり動くようにストレッチしていきましょう。

肩甲骨を寄せてみよう

この肩甲骨を意識しながら動かすには、写真のような出入り口を利用するとストレッチしやすいです。では最初の立ち位置から柱などに腕をしっかり支えながら、ゆっくりと身体を前へ倒していきましょう。

ギューっと上体を前へ倒していく

上の写真のように、両ひじが引っつきそうなくらいまで行けますか? そのためにも、両方の肩甲骨がひっつきそうなイメージをしてください。人によって肩甲骨の動く範囲が違いますので、無理のないよう、痛みのない程度に行ってくださいね。また出入り口のサイズによっても違いがあると思いますので、できる範囲で行ってください。

ギューっと身体を前へ倒したこの状態で20秒キープしてください。呼吸は止めずにゆったり行ってください。職場でも自宅でもこんな幅を見つけたらストレッチしてみましょう。

ゆっくり行い、20秒静止する

では次に、片方ずつ身体を傾けてみましょう。身体を前へ倒した後に、右へギューっと上体を倒します。20秒ほど静止したら一度戻って、今度は左へギューっと20秒ほど傾けます。

片側ずつ行うと、体が硬い人でも大丈夫

このようにすれば、最初のやり方で難しかった人も片方ずつストレッチが可能です。上半身裸の写真だと、身体の傾き具合や肩甲骨の状態がよくお分かりいただけたかと思います。

片側ずつなら、壁も使える

出入り口に都合よく使えるようなスペースが無い場合、壁を使っても同じことが可能です。下の写真は、正面と背面を並べておきましたので分かりやすいと思います。

まず壁と並行に立ちまして、壁側の手を壁に当てます

足を前へ出し、上体も前へ

壁側の足を小さく前へ出し、同時に上体を前へ傾けます。そして壁に身体がひっつくように倒しますと、壁側の肩甲骨がギューっと動きます。この状態で20秒キープし、ゆっくり戻ります。反対側も同様に行ってください。

肩甲骨がしっかり動いていることを意識してください

見ただけでやらないのはとてももったいない

いかがでしょうか。皆さんが知っている肩そのものに何もアプローチしていませんが、これで肩こりの解消につながるのです。

見ただけでやってみないのはとても残念なことです。やってみるときっと驚きが待っています。肩こり解消に関するストレッチには、まだまだいろいろやり方があります。次回以降も紹介していきます。

著者プロフィール

鮎川 良
奈良県の学園前にて「RYO整体院」を営む整体師ランナー。整体師だからこそ分かる身体のメカニズムを基に、ストレッチの重要性を説き、クリニックも開催する。ストイックにタイムを追求するよりも、健康で楽しいマラソンライフを提案。筋肉痛になりにくい身体作りや疲労回復のケア方法、自身が提唱する疲れにくいランニングフォーム「エンジョイラン走法」で、フルマラソン走破を目指す人のサポートをしている。著書に『がんばらないで楽に長く走る』(学研パブリッシング)がある。また、累計268万アクセス超の人気ブログ「整体師に学ぶ~マラソンによる筋肉痛改善方法と、フル完走ノウハウ」も執筆している。