近年はクールビズなども定着し、ビジネスパーソンのスタイルもだいぶカジュアルになりましたが、そもそもこの時期に一斉に行われる衣替え (ころもがえ) にはどのような由来があるのでしょうか?

平安時代の宮中からのならわしが由来

6月1日は、学校や職場などが夏服に「衣替え」を行います。この衣替え、単に「暑くなったから」「寒くなったから」「季節が変わったから」……と、何気なく行っている人も多いと思いますが、実は平安時代の宮中からのならわしが由来になっていることをご存じでしょうか?

現在の衣替えは、もともとは旧暦の4月1日を「更衣の日」として、冬装束から夏装束に改めたことから始まっています。「更衣」は「衣服を着替える」「衣替え」という意味で、平安時代には天皇の着替えなど、身辺の世話をする女官を指したこともありました。

平安時代の男性の夏装束の例(18歳程度)「夏の直衣 (のうし)」 画像提供:綺陽堂

平安時代の女性の夏装束の例(18歳程度)「裳唐衣 (もからぎぬ) (十二単 (じゅうにひとえ))」 画像提供:綺陽堂

それが近世になると武家に広がり、明治期に庶民の間に広まったと言われています。学校や職場などで衣替えが行われるようになったのも、この時期です。

最近では、その日の気候に合わせて冬服、夏服を着ることも増えていますし、ビジネスマンのクールビズも定着しつつあります。とはいえ、衣替えは季節を快適に過ごすために行われるもの。省エネ、そして体調管理のためにも、現代は現代の気候に合わせた過ごし方を工夫したいものですね。

執筆:野村佳代

株式会社アスラン編集スタジオ 代表取締役。編集・ライター。一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師。Webサイト「ビジネス文章力研究所」を運営している。