(左から)長濱博史監督、カヤ役の齋藤智美、「声」を担当した土井美加、ギンコ役の中野裕斗、

漆原友紀原作の劇場版アニメ「蟲師 特別編『鈴の雫』」の初日舞台挨拶が、5月16日に東京・新宿バルト9にて開催された。

イベントには長濱博史監督、ギンコ役の中野裕斗、カヤ役の齋藤智美、「声」を担当した土井美加が登壇した。公開初日を迎えて感無量と語る中野は「でもまだ長濱監督は燃え尽きてないようで……」と監督を見やる。長濱監督は今回上映された「棘の道」と「鈴の雫」について、「蟲師の物語を知っていればより楽しめる2作品」「蟲師の世界の根幹につながってくる話」だと語り、2作の関連性について「あり方は違う2つの道の話」だと「道つながり」の2作であることを説明した。また「9年前からやってきた作品だったりするので、みなさんの顔を見れてうれしいです。感想を聞きたいですね」と観客をうれしそうに眺める場面も。

また齋藤は「オーディションを受けたときはこんな場所に立てると思っていなかったので……こんなにたくさんの人に見ていただけてうれしいです」と緊張気味にコメント。監督は「カヤは人間として描いていないですからね。人の中からヌシが生まれてきたので、それはすごく難しかったと思いますよ」と、齋藤の演技を褒め称える。「最初の『去ね』というカヤのセリフにはこだわりましたね」とエピソードを明かすと、中野は斎藤に「今やってもらっていいですか」と無茶ぶり。戸惑いながらもチャレンジする斎藤だったが、どうにも当時とは同じにならない様子で、会場の笑いを誘った。

なお「鈴の雫」において小道具として使用された鈴が、来場者の中から抽選で5名にプレゼントされた。「鈴の雫」の鈴が鳴り響くシーンでは、実にさまざまな鈴が使用候補に挙がったという。実際にはまるいドーナツ状の、回転させると音が鳴る鈴や、どんぐり型の小さな鈴などが使用されたことも明かされた。

最後に土井は「何回も見ていただくとまた新しい発見もあると思うので、何回も見て蟲師の世界に浸ってもらえたらなと思います」、齋藤は「こんなに素晴らしい作品に携わらせていただいて、たくさんの人が見てくださって本当にうれしく思います」と挨拶。中野は「蟲師は永久に不滅です! またいつか」と力強く宣言した。そして長濱監督は「原作はすべてアニメ化してしまったので寂しいです。また次がやれたらいいなと、ずっと思っています。自分の中ではまだ終わっていないものなので、10年空けずにまた蟲師に帰ってこれることを、なんとか考えていこうと思っています」と話すと、会場からは拍手が沸き起こった。

なお7月22日に「蟲師」サウンドトラック第2弾となる「蟲音 結」の発売が決定。またコミックナタリーでは長濱監督と総作画監督の馬越嘉彦による対談を公開中なので、未読のファンはぜひご覧いただきたい。