JR北海道は、今年1月に土砂流出が発生し、路線の大半が不通となっている日高本線について、復旧には最大で約57億円、最小限の工事でも約26億円を要するとの試算を発表した。

日高本線は現在、路線の大半が普通に(写真は様似駅)

日高本線では今年1月8日、厚賀~大狩部間で約13mにわたって線路脇の盛土流出が発生。同じ箇所で過去3度にわたって同様の土砂流出が発生していることから、JR北海道は線路脇の護岸対策と落石や土砂崩れを防ぐ斜面対策の両面で抜本的な対策が必要との考えを示していた。

今回発表された試算によれば、必要な対策を完全に実施した場合、護岸対策約42億円、斜面対策約15億円の計約57億円が必要で、工期も「長期間を要する見込み」(JR北海道)だという。

一方、列車通行時に時速25kmで走行して安全を確保し、必要最小限の工事のみ実施した場合、護岸対策約24億円、斜面対策約2億円の計約26億円に工費を圧縮できるという。この場合の工期は約30カ月に短縮できるとのことが、実際に工事ができるのは1年のうち冬季を除く7カ月間に限定されるため、実際の工期は約4年間を要する見込み。

JR北海道は今後、護岸の詳細な調査や対策工事の準備工事・実施設計に着手し、今年9月末までに完了させる予定としている。ただし工事資金の問題などから、本工事に着手できる見通しは立っていない。