大妻女子大学の井上俊也教授らはこのほど、「就業経験のある未就業女性のスキルに関する意識調査」の結果を発表した。同調査は2014年12月22日~2015年年1月5日、「NTTコム リサーチ」モニターを対象として実施。一都三県在住でかつ、現在働いていない(もしくはパートタイムで働いている)が、かつてフルタイムで働いた経験がある35歳~55歳の女性(子供がいる場合は末子が小学生以上)1,794名の回答を分析したもの。

働こうとしても阻害要因があると答えた女性が多い

働く上で阻害要因を挙げた人は約半数

「現在働いていない理由」を聞いたところ、「家事や子育て、介護など、働くことを阻害する環境があるから」が最も多く47.8%を占めたが、「働く意欲が十分ではないから」(23.2%)」「働くために必要なスキル(能力・知識・資格)が備わっていない」(16.8%)などの、意欲やスキルの不足を挙げる回答も存在した。

スキル不足回答者の以前の職場の立場は「他人からの指示に基づく業務」

「働くために必要なスキルが備わっていない」ことを働いてない理由のひとつに回答した301人を対象として、「以前の職場での立場」を聞いたところ、81.1%は「他人からの指示を忠実に行う」オペレーター的な役割に就いていたことがわかった。対して、働いていない理由にスキル以外の要素を挙げた人では63.6%となった。

不足意識のあるスキルは「パソコン使用能力」「語学力」

働くために必要なスキルの不足の理由もあって現在働いていない方に「働くために必要であるが欠けていると思うスキル」を聞いたところ、「パソコン使用能力」(62.8%)、「語学力」(話す聞く42.2%、読み書き37.9%)などのテクニカル系スキルが欠けているとの意識が高いことが分かった。

また「不足している資格」については「英語関連(英検、TOEIC、TOEFLなど)」「IT関連(ITパスポート、情報処理技術者、MOS、CCNAなど)、「外国語関連(英語以外)」が高い数値を示した。「士業」と言われる資格についてはいずれも低く10%前後であった。

学んでみたいスキルは「パソコン使用能力」

「今後働くために有用と思われ,学んでみたいスキル」を聞いたところ、やはり「パソコン使用能力」が51.8%で最も高く、「不足意識」「学習意欲」がともに高いことが分かった。しかしその反面で、「学んでみたいスキルは特にない」と答えた人も21.3%存在した。

働く上で家事・子育て・介護などの環境的な阻害要因がある一方で、「スキルが足りない」「働く意欲が十分でない」という理由で働いていない状況もあるように、学ぶとしても前職に関わりのある比較的難易度の高くないスキルへの関心か、もしくは学ぶ意欲自体がないという回答が目立ち、復職する場合の障壁になっている可能性があることが推測された。