球春到来。プロ野球12球団のキャンプが始まり、野球の報道が活発化してきた。ひいきのチームや好きな選手の状況に注目しつつも、ライバルチームの戦力が気になるファンも多いだろう。

そこで『週刊野球太郎』では、編集部とライター陣による座談会を行い、12球団の戦力を徹底分析した。巨人の4連覇か、広島の24年ぶりの優勝か、はたまた10年ぶりに阪神の胴上げが見られるのか!? 気になるセ・リーグの順位予想とともに、各球団の戦力を解説していきたい。

1位と2位は激しい戦いに! 広島vs.巨人

昨季にリーグ3連覇を達成した巨人だが、3割打者はゼロでケガ人も多く、チーム状況はボロボロだった。ただ、一つひとつのプレーに"欲"が見える選手ばかりで、「勝ち方を知っているチーム」という巨人の強さや、満身創痍(そうい)でも勝ちきることができる地力を思い知らされたシーズンだったように思える。阿部慎之助が一塁手へコンバートし、捕手は小林誠司もしくは移籍してきた相川亮二が務めるという大転換があっても、V9以来の4連覇への視界がかすむことはないだろう。

それに対抗するのは広島。2年連続3位に入り、若手選手の成長が著しい。チームとしての地盤が固まってきたところに、メジャーで2010年から5年連続2ケタ勝利をマークしている黒田博樹が復帰。24年ぶりのリーグ優勝へ機は熟した、といっていいだろう。ただ、整いすぎた状況に変なプレッシャーを感じてしまっては、本来の力を発揮できない。高い前評判に見合った結果を残せるのか注目だ。

メジャー移籍の可能性があった前田健太の残留も、広島を優勝へと加速させる

おじさんたちの猛虎魂がさく裂するか?

クライマックスシリーズ(以下CS)圏内の3位に入りそうなのは、昨季、CSで巨人に勝ち、日本シリーズに進んだ阪神だ。

狙っていた選手を補強できず、レギュラーメンバーの平均年齢が着々と上昇している不安を感じるが、福原忍、安藤優也らは年齢を重ねるごとに安定感を増している。さらに能見篤史、メッセンジャー、岩田稔、藤浪晋太郎といった強力な先発陣を考えると、好成績を残すのではないかと感じる。そこに、鳥谷敬の残留が決定。チーム創立80周年のタイミングで、10年ぶりのリーグ優勝、30年ぶりの日本一を成し遂げられるか?

藤浪晋太郎に続く若手選手の台頭があれば、さらに優勝へ近づく

歯車が噛み合えばCS圏内に進出もあるぞ、DeNA・ヤクルト

12球団で唯一、CS出場経験がないチームとなったDeNA。ただし、ここ数年はファンクラブを筆頭に、球団のやる気が強く感じられる。過去には、「ファンクラブが改善されたチームは数年後に強くなる」という事例があるだけに、「そろそろ実を結ぶのでは」と期待したい。

戦力分析をしても、CS出場するチームとして十分な選手がそろってきた。筒香嘉智と梶谷隆幸がブレークし、グリエルが残留。さらに巨人からロペスが加入した打線は強力だ。井納翔一や先発転向がハマった山口俊と顔ぶれがそろっている先発投手陣に、リリーフには岡島秀樹が加入し、心強い補強となった。リリーフ向きの新人・山﨑康晃も即戦力として期待がかけられている。

今季からキャプテンを務める筒香嘉智は4番をまっとうし、名実ともにチームの顔になれるか

昨季は最下位でも総得点とチーム打率はリーグトップのヤクルトは、投手陣をどうにかしたい。そこで成瀬善久をFAで獲得。さらにここ数年ほとんど一軍登板のなかった由規と館山昌平の復活や、素質の一端をのぞかせた杉浦稔大など若手投手の台頭があれば、急浮上の可能性はあるだろう。ただ、毎年同じように言われながら、ケガ人に泣かされているのがヤクルトというチームだ。本当に、ケガ人が出ないことを祈りたい。

中日は苦戦が予想されるシーズンに?

阪神以上にチームの平均年齢が高いのが中日だ。最大のポイントである「ポスト谷繁」を任せられるような捕手が出てこない。谷繁元信兼任監督自身が、「現役中に自分を超える捕手は出てこない」と語っているといううわさもあるほどだ。

ちなみに昨季、谷繁がスタメン捕手だったのは81試合で、続いて多いのが松井雅人で40試合となっている。それぞれが捕手を務めていたときのチーム防御率を見てみると、1点近く谷繁が捕手時のほうがいい成績だったという。捕手は簡単に成果が出ない難しいポジションだけに、松井雅人には踏ん張ってもらいたい。

楽しみな点を探すと、和田一浩の2000本安打(あと15安打)と、谷繁の通算試合出場数歴代単独トップ(あと27試合/現在1位は野村克也氏の3017試合)を祝うことだろう。この偉大な記録が達成されることで、チーム全体に勢いがつけば良いのだが、そうなるとやはり、中日は今季も「ベテラン頼み」になってしまうことが予想される。

以上が『週刊野球太郎』的、セ・リーグの順位予想だ。実際の結果はどうなるだろうか? シーズン開幕まで1カ月以上あるが、いまから楽しみにしてほしい。

週刊野球太郎

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