東京商工リサーチは29日、水産練製品の製造販売で業歴450年以上の老舗、イカの糀入り塩辛の元祖である美濃屋吉兵衛商店(小田原市)が28日、横浜地裁小田原支部に民事再生法の適用を申請したと発表した。負債総額は約30億円(2014年3月期決算時点)。

東京商工リサーチによると、美濃屋吉兵衛商店は天正年間(1550年頃)に創業、業歴450年以上を数える老舗企業。代表者は代々鈴木吉兵衛を襲名し、現代表は22代目になる。

水産練製品や蒲鉾、わさび漬、塩辛、干物など、各種ギフト用加工食品 を製造販売し、皇室献上賜品(塩辛、蒲鉾、梅干し)も取り扱っていたという。百貨店や高級料亭、レストランなどに販売するほか、地元を中心に高い知名度を得て一般個人を対象に小売りも行い、ピーク時の1992年3月期には売上高約22億3400万円をあげていた。

だが、企業の経費削減に伴うギフト需要の減少や消費者嗜好の変化などで、以降の売上高は伸び悩み、2014年3月期の売上高は約11億1400万円まで落ち込み、約2億7300万円の赤字となった。その後も資金状況は改善せず、資金繰りが逼迫し今回の措置となった。