国境なき医師団(MSF)日本はこのほど、エボラ出血熱対策に携わる援助従事者のためのオンライン講座「Ebola ebriefing」を公開した。

過去の主なエボラ出血熱流行

同団体によると過去10年のMSFによるエボラ対応は、いずれも感染防御に関する専門スキルをもつ人々によって支えられてきた。しかし、エボラ治療における感染リスクを最小限に抑えるには、医師から衛生担当者まで、あらゆるスタッフがもつ専門知識が重要となる。

そこで、ウイルスと闘う外部の人々や他団体に、それらの知識を広く提供することが大切であるとして、同講座を開設した。講座ではエボラウイルスとその制御策、症例管理の難しさについて具体的な情報を公開している。受講は誰でもでき、英語、フランス語、スペイン語の3言語を用意している。

また、MSFでは8月以降、西アフリカへ出発する前の派遣スタッフにブリュッセルで数日間の理論と実践の研修を実施している。これまでに10回実施し、合計400人余りが受講した。この研修コースの成功を機に、MSFは回数を増やした上で外部の援助関係者にも開放することを決定した。今後数カ月の間に、オランダのアムステルダムで約20回の同様の研修コースを開く予定だという。

ブリュッセルでの研修コースを受講するスタッフ

MSFインターナショナル会長のジョアンヌ・リュー医師は「エボラ拡大をこれ以上広げないための最善策は、西アフリカで対応に取り組むこと」と述べている。現場での主な課題は、感染リスクのある環境での業務に習熟した人員の確保だ。「より多くの患者を治療するために、多くの海外派遣スタッフと現地スタッフに研修を行わなければならない」と研修の重要性を語った。