日本ユニセフ協会は28日、報告書「不況の中の子どもたち:先進諸国における経済危機が子どもの幸福度に及ぼす影響」を発表した。それによると、リーマン・ショックが起きた2008年以降、先進国において、260万人(増加分660万人から減少分400万人を相殺した数)の子どもたちが貧困に陥り、現在も推計で約7,650万人が貧困状態で暮らしていることがわかった。

「不況の中の子どもたち:先進諸国における経済危機が子どもの幸福度に及ぼす影響」

分析対象となった41カ国中23カ国で、2008年以降子どもの貧困が増加。中でも、アイルランド、クロアチア、ラトビア、ギリシャ、アイスランドでは、50%以上増えた。一方、18カ国では貧困率が改善し、オーストラリア、チリ、フィンランド、ノルウェー、ポーランド、スロバキアでは、30%近く低下した。

国別に見ると、米国では、1982年の不況時より、今回の不況の方が極度の子どもの貧困が増加。経済危機が始まって以来、50州のうち34州で子どもの貧困が増え、2012年は、2008年より170万人多い2,420万人の子どもが貧困状態に陥っていた。

日本は、「固定貧困率」が2008年の21.7%から2012年は19.0%に減少し、改善度では上から10番目だった。しかし、絶対値で見ると、日本の子どもの貧困率は、2008年では41カ国中25番目、2012年には19番目と中位となったほか、貧困の深刻度を示す「貧困ギャップ」は、2008年から2012年にかけて増加していた。