メッセンジャーは今シーズン、最多奪三振と最多勝のタイトルを獲得した

つい先日、幕を下ろしたペナントレース。最後の最後まで白熱した優勝争いがあり、チームの順位を1つでも上げるために多くの選手がプレーしていた。そんな中で、シーズン終盤に日本人選手とは異なった"戦い"を繰り広げている外国人選手たちも少なくなかった。

ある者はタイトルを獲得してオフの大幅年俸アップを狙おうとし、またある者は「クビの当落線上」から何とか抜け出して来季の契約を勝ち取ろうと、必死に結果を残そうとした。登録枠の関係で、タフな"戦い"を強いられることが多い外国人選手たち。今回は彼らの今シーズンを振り返り、「優良助っ人」と「残念助っ人」を独自にジャッジしてみた。

阪神とソフトバンクに「超優良」が集中

まずは、「超優良助っ人」から紹介していこう。

呉昇桓(オ・スンファン)とメッセンジャー(共に阪神)

CS進出に貢献したこの2人には、「大変よくできました」のハンコを押してあげてもいいだろう。

31試合に全て先発登板したメッセンジャー。13勝10敗で防御率3.20という数字以上に、セ・リーグで唯一投球回数200回を突破し、リーグ断トツとなる226個の三振を奪ったことは評価に値する。

呉昇桓は39セーブまで積み重ね、来日1年目の外国人投手の歴代最多セーブ記録を更新してタイトルを獲得した。ちなみにこれまでの最多は、2000年のギャラード(当時中日)と2011年のサファテ(当時広島)の35セーブ。その呉昇桓の年俸3億円は外国人投手の中では12球団で最も高い金額だが、見合った活躍はしたといえるだろう。

スタンリッジとサファテ(共にソフトバンク)

優勝したソフトバンク投手陣を支えたこの2投手も文句なしだろう。

6年ぶりにソフトバンクに帰ってきたスタンリッジは、阪神時代の昨季はいわゆる「無援護状態」が続き、9イニングあたりの援護点はわずか3.02だった。結果、8勝12敗と敗戦数が上回ったが、今季は強打線のバックアップを受けて11勝8敗と、勝ちと負けが逆転した。

守護神のサファテは、イニング数を超える奪三振数(68回と3分の1イニングで96奪三振)が魅力。今季にキャリアハイの成績を残した2人は、CSでの活躍も期待される。

メヒア(西武)

5月に年俸3,570万円で途中加入するも、34本塁打をかっ飛ばし、チームメートの中村剛也と並んで本塁打王のタイトルを獲得したメヒアも超優良助っ人と言える。打率2割9分と確実性がある点も魅力で、来季年俸は大幅アップになること間違いなしだ。

エルドレッド(広島)

年俸5,000万円ながらも37本塁打、104打点をマークしたエルドレッドも該当する。打撃が荒くてシーズン終盤には不振による2軍落ちの屈辱を味わったが、ツボにはまったときの打撃はすさまじく、カープの3位に貢献した。

年俸2,000万円台でも活躍したヒース、マエストリ

続いて「優良助っ人」に値する選手たちを紹介しよう。

モスコーソ(DeNA)

DeNAのモスコーソは外国人枠の関係で、シーズン当初は1軍と2軍を行ったり来たりしたが、規定投球回数に到達し、防御率3.39はリーグ10位。打線との巡り合わせで9勝に終わったが、中畑清監督やチームからの評価は高く、8,500万円から年俸は上がり、来季から複数年の契約に至りそうだ。

ヒース(広島)

年俸2,290万円で後半戦から広島に加入したヒースは、7試合に登板して3勝0敗、防御率2.38と好成績を収め、シーズン終盤の救世主となった。

マエストリ(オリックス)

年俸わずか2,000万円ながら、33試合に登板して防御率1.97の好成績を挙げているオリックスのマエストリも選出したい。先発が早めに崩れた試合では、ロングリリーフもできるなど、使い勝手の良い投手だ。

パッとしなかった西武の2投手

ここからは、高年俸の割にはそれほど活躍できなかった外国人選手たちだ。

レイノルズとボウデン(共に西武)

西武の新外国人投手のレイノルズとボウデンは、ともに年俸8,000万円ながら、ボウデンは主にリリーフとして36試合に登板し防御率4.50、レイノルズは先発として12試合に登板し防御率5.46とパッとした成績を残せなかった。

メンドーサ(日本ハム)

年俸1億円の日本ハムのメンドーサも思うように勝ち星が伸びず、7勝13敗、防御率3.89の成績に終わった。先発して6回以上投げて自責点3以内に抑えた時に記録される「クオリティ・スタート」(QS)を達成した割合は65%とまずまずの成績で、CS時の起用法に注目したい。

3億円で打率2割1分5厘、1本塁打のユーキリス

最後は期待を大きく裏切る成績しか残せなかった「残念助っ人」の外国人投手たちを紹介しよう。

ブラックリー(楽天)

1年契約、総額2億円で楽天に入団するも、3試合に先発したのみ。成績も1勝2敗、防御率5.54と期待はずれに終わった。

グライシンガー(ロッテ)

8,500万円の年俸ながら開幕前に右肩痛を発症。今季は登板機会がないまま退団となった。

ユーキリス(楽天)

メジャー通算150発で、2008年にはシーズン29本塁打をマークした「大物助っ人」として期待がかかったユーキリス。契約金と合わせた年俸は3億円とされているが、左足のケガの検査ということで5月に米国へ帰国。早々と戦線離脱し、以後の試合に出場することなくシーズンを終えた。21試合で2割1分5厘、1本塁打、11打点と、寂しい結果に終わっている。

選手のチームへの貢献度を考える際、プロ野球ファン一人ひとりにさまざまな意見があることは間違いない。ただ、今季の年俸が5,000万円以下ながらもタイトルを獲得したエルドレッドとメヒアが、今シーズン最も「費用対効果」が良かった選手と考えてもいいのではないだろうか。

日本の野球にフィットするか否か、ふたを開けてみないとわからないことが多い外国人選手。ソフトバンクや阪神、広島のように「超優良助っ人」を抱えていたチームはCSに進みやすい傾向があるのかもしれない。そう考えると、12球団にとって助っ人たちは、あらためて貴重な戦力であると言えそうだ。(年俸は推定)

週刊野球太郎

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