電通サイエンスジャムは9月19日、ハイレゾ音源をヘッドホンで聴くと脳が快感を感じるという実験結果を長岡技術科学大学と共同でまとめたと発表した。

可聴帯域を外れた周波数を含むハイレゾが与える効能は通常の音源と同じ?

ウォークマン「NW-ZX1」

実験は、ハイレゾ音源と通常の圧縮音源(CDレベルの圧縮音源)を聴いた場合を比較し、脳活動に変化がみられるかを明らかにするとともに、どのような感性の誘発が起こるかを計測するために行われた。実験に参加した被験者は20~40代の男女10名。

実験が行われた背景には、ウォークマン「NW-ZX1」などハイレゾ対応デバイスが高価であるにもかかわらず予約が殺到して売り切れになったり、ハイレゾ楽曲数がこの半年で前年の2倍に増えたりと、ハイレゾへの注目度が高まってきていることがあるという。なお、実験機材には再生デバイスとしてソニーのハイレゾ対応ウォークマン、ハイレゾ非対応ウォークマンを用い、出力デバイスとしてはハイレゾ対応ヘッドホンを用いた。

ハイレゾ音源には人間の耳で捉えられる"可聴帯域"から外れた周波数も含まれている(【図1】参照)。そのため、同社では「ハイレゾ音源と通常の圧縮音源を聴き比べても、良さや違いを認識できない」とする声も多くあると語る。

【図1】ハイレゾ音源の周波数帯域と、人間が捉えられる可聴帯域

ハイレゾは快感を1.2倍に、安心感を3倍に増幅させる

実験では、ハイレゾ対応のウォークマンと非対応のウォークマンそれぞれに、ハイレゾ音源と通常の圧縮音源を入れ、どちらの音源を聴いているかが被験者には分からない状態にした。その上で、脳活動の変化や、「快感」「不快感」「安心感」「不安感」のどの感性が誘発されるかを測定。

実験は、ハイレゾ音源を聴いた場合は通常の圧縮音源を聴いた場合と比較して、快感を23.0%増加(=123%)させ、安心感を194.6%増加(=294.6%)させる一方、不快感を42.2%減少(=57.8%)させ、不安感を29.2%減少(70.8%)させる結果となった(【図2】参照)。

【図2】感性ごとのハイレゾ音源を聴いた場合の平均変動率

【図3】各音源を聴いた際の脳の活性化状態の比較