子どもの教育費の備えの1つとして選好される学資保険。確かに、他の用途に使わずに教育費のために、計画的にお金が貯められる手段として適しているとも言えるが、果たして、今の時代に合っている商品といえるのだろうか。今回は、ファイナンシャル・プランナーの村松祐子さんに学資保険に関して解説していただく。

契約者である親が死亡の際には保険料免除

ネット銀行の定期預金や低解約返戻金型保険で学資保険の代用はできる?

支払った保険料に対して多くの保険金を受け取ることができ、民間生保の学資保険では、支払保険料に対して110%以上の返戻率がある商品などに人気が集まります。学資保険は、保険料の払込期間や学資金の受け取り方に様々な選択肢があります。それにより返戻率も変わってきます。

例えば、30歳男性の場合、子どもが17歳までに保険料を払い終え、17歳から受け取る場合の返戻率は104.9%ですが、10歳までに払い終えれば、109.7%の戻りが得られます。ちなみに返戻率は、満期保険金(祝い金)÷保険料総額×100により求めることができます(例: 240万円÷218万5,920円×100=109.7%)

学資保険の返戻率とネット銀行の定期預金(1年間複利計算として18年間貯めた場合の金額の増え方)を比較することがありますが、単に比較して優劣をつけることはできません。

学資保険は、教育費準備のための貯蓄として活用できる「保険商品」であり、万が一、契約者である親が死亡した場合は、その後の契約期間における保険料支払いが免除されるという救済措置があります。この点、ネット銀行の定期預金も同等の貯蓄性があるとはいえ、不測の事態に備える措置はありません。

教育費を保険で備えるなら、低解約返戻金型保険(終身保険・定期保険)も学資保険と同様に貯蓄性があるため、検討される方も少なくありません。こちらは、受け取り方や加入時期の自由度がある点では、学資保険よりもお得と考えられます。学資保険では、死亡後の保険料は免除されますが、受取は17歳など当初の設定通りで、その年齢に到達するまで待って受け取ることになります。一方、低解約返戻金型保険は、死亡したときにすぐに死亡保険金が受け取れます。親が死亡したことで、教育や生活プランなど全般を見直すことも予想され、まとまった資金を早期に受け取った方が助かることも多いかと思います。

ただ、教育費準備を保険商品だけに頼るのは、得策とは言い切れません。なぜなら、お金の価値は、市場環境の変化により変わるものだからです。政府や日銀が掲げる年2%のインフレ目標が実現すれば、将来の学費が保険金を上回る可能性もあります。そのような状況も踏まえて、2015年から個人も購入が可能になる物価連動国債や株式投資の積み立てとも組み合わせたプランを考えることがより有効な手段といえるでしょう。

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