総務省は1日、生活保護の不正受給について、約7割が発覚してから減額処理を行うまで1カ月以上かかっていたとして、厚生労働省に処理までの標準期間を設定し、地方自治体に迅速な処理を指導するよう勧告した。

生活保護の受給者数は、2002年度の124万人から2011年度は約1.7倍に当たる206万人に増加。保護費は10年間で約1.6倍の3.5兆円に増えた。一方、不正受給件数は、2002年度の8,204件から2011年度には約4.3倍の3万5,568件に増加。不正受給金額は、2002年度の54億円から2011年度には約3.2倍の173億円に拡大している。

生活保護に関する実態調査の結果に基づく勧告(概要)

同省は、生活保護の現状・動向、生活保護行政の実態等を把握するため、全国の福祉事務所1,251カ所のうち、22都道府県にある102事務所の生活保護申請約25万件(2008年~2012年)から抽出調査を実施。

その結果、2008年~2012年の3年間で、不正受給と見なされ減額処理が行われた1,506件のうち、不正受給が発覚してから福祉事務所が行政措置を取るまでに1カ月以上かかったケースは69.3%(1,043件)。このうち、6カ月以上かかったケースは13.3%(201件)、1年以上かかったケースは2.1%(32件)となった。

2008年~2012年の3年間で、不正受給となった保護費57億8,000万円の回収状況を見ると、回収率は24%、回収額は14億1,000万円にとどまった。一方、回収できずに不納欠損処理を行った額は9億4,000万円に上った。