公益社団法人 福岡県獣医師会は、被災地で救命医療に当たる災害派遣医療チーム(DMAT)のペット版「災害派遣獣医療チーム(VMAT)」を全国で初めて結成した。

福岡県獣医師会「緊急災害時における動物救護のガイドライン」より

県内だけではなく、他県にも隊員を派遣

今回のチーム結成は、獣医師の船津敏弘さんの呼びかけによって実現した。船津さんは平成23年7月、東京電力福島第1原発事故で住民が避難した福島県富岡町を訪問。その際に飼い主と離れて餓死したペットの姿を目の当たりにし「いつやってくるか分からない災害に備えて、事前に準備しないと動物たちを救えない」と、設立の必要性を強く感じたことがきっかけだという。

VMATの現在の隊員は41人。獣医師や獣看護師、ペットをしつける訓練士ら5人程度で1チームを構成している。県内で震度6弱以上の地震が発生した場合、県獣医師会に設置する対策本部の指揮下で、ペットの治療や保護を担う。県内だけではなく、他県でも震度6強以上の地震や50人以上の死者が見込まれる災害であれば、隊員を派遣する。

なお、VMAT隊員になるには、動物の救急処置を学び、避難所でのトラブル対処法を論議する年2回の研修が必要となる。