国立がん研究センター がん対策情報センターはこのほど、2014年に新たにがんと診断される罹患(りかん)数と死亡数の予測を「がん情報サービス」にて公開した。

罹患数(新たに診断されたがんの数)

今回の予測については、罹患数は全国がん罹患モニタリング集計の年齢階級別がん罹患数(1975~2010年全国推計値)を用いて算出した。

2014年の罹患数は、2010年の全国推計値と比べると約7万7,000例増加し、88万2,200例(男性50万1,800例、女性38万400例)となった。部位別に見ると、最も多いのは「胃」で、次いで「肺」「大腸」となった。2010年と比べると肺が大腸を抜いて2位となっている。乳房(女性)、前立腺も約8万例と多い。

死亡数

死亡数は人口動態統計がん死亡数(1975~2012年実測値)から算出した。がん死亡数は、36万7,100人(男性21万7,600人、女性14万9,500人)。2012年の実測値と比べると約6,000人増加したものの、ほぼ同じであった。部位別に見ると、「肺」「胃」「大腸」「膵臓(すいぞう)」「肝臓」の順に死亡数が多い。2012年と比べると、膵臓が肝臓を抜いて4位となった。

同センターは、罹患数・死亡数の増加の主要因は高齢化であることを挙げている。肺がんは高齢化の影響を除くと減少局面に入っているが、それを上回るペースで高齢化が進んでいる。胃がんは高齢化の影響を除くと長期的な減少傾向だが、高齢化の影響で罹患数・死亡数は増加または横ばいとなっている。

前立腺がんの罹患数は、採血のみの検査で行うスクリーニング検査「PSA検診」が広く知られるようになったことも増加の要因と見られる。膵臓がんは高齢化の影響を除いても増加傾向にある。

2016年には、全国の医療機関に、がん患者の情報提供を義務づける「がん登録推進法」が施行される。同センターは、同法により、罹患数の実測数値の集計が可能となれば、データソースがより確かな数値となり、予測数値の精度も上がると考えられる、としている。

詳細は、がん情報サービスで公開している。