“南アルプス”の愛称で知られる、山梨、長野、静岡の3県にまたがる山岳地帯が11日(日本時間)、スウェーデンで開かれたユネスコMAB計画国際調整理事会にて「ユネスコエコパーク」として正式に登録された。

初夏の南アルプス白根三山(撮影:広瀬和弘)

南アルプスは正式名称“赤石山脈”と呼ばれ、東西約15キロ、南北50キロに及ぶ日本を代表する広大な山岳地帯。3,000メートル級の13の山々を連ね、国内屈指の多雨多湿地帯で、世界有数の天然水資源が豊富な地域としても知られており、固有種が多く生息する生物多様性に富んだ、日本を代表する自然環境を有しているのが特徴だ。

今回、ユネスコエコパークへの申請を行ったのは、山梨県韮崎市・南アルプス市・北杜市・早川町、長野県飯田市・伊那市・富士見町・大鹿村、静岡県静岡市・川根本町の3県10市町村。2013年9月にユネスコパークへの国内推薦が決定し、同月末にユネスコMAB事務局に申請書を提出、審査を経て今回の決定に至ったという。

なお、ユネスコエコパークとは、ユネスコが1976年に開始した事業で正式名称は「生物圏保存地域」。同じユネスコが登録する世界自然遺産が手つかずの自然をそのまま守り続けることが目的なのに対し、同パークは生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的に、地域の自然と文化を守りながら地域社会の発展を目指す取り組みとなっている。ユネスコエコパークは世界自然遺産より歴史が長く、2013年5月現在、世界117カ国621地域、日本5地域が登録されており、今年は南アルプスのほかに、只見(福島県)も新規登録された。