東京商工リサーチはこのほど、日本酒「美少年」を製造していた清酒メーカー・火の国酒造(熊本県・熊本市)が2014年5月2日、熊本地裁に破産を申請し、同20日に破産開始決定を受けたと発表した。破産管財人は建部明弁護士。

同社は1879年創業の清酒メーカー。日本酒「美少年」を看板商品として、美少年酒造の社名で地場トップの清酒生産量を上げ、ピークの1996年9月期には25億3,125万円の売上高を計上していた。しかし、消費者の嗜好の変化などで徐々に清酒需要が落ち込み、2008年9月期の売上高は13億445万円にまで減少し、収益も悪化していた。

こうしたなか、2008年9月に事故米を不正転売していた三笠フーズから原料仕入れを行っていたことが表面化。自力再建が困難となり、2009年4月16日に熊本地裁へ民事再生法の適用を申請した。

その後、支援企業としてエヌ・エル・エー他数社が決定。2009年10月には火の国酒造に商号を変更し、経営再建を進め、2013年1月に再生定続きを終了していた。しかし、この間も旧債を抱え経営は厳しく、同年8月にエヌ・エル・エーが出資する美少年へ事業を譲渡し、事実上営業実態がなくなっていた。

負債総額は、破産申請時では約11億5,000万円だが、民事再生開始決定後に新たに発生した債務は約5,000万円となる。