東芝は4日、次世代の映像圧縮規格とされるHEVCに準拠した、リアルタイム4K-HEVCソフトウェア圧縮技術を発表した。この技術をベースに、超高精細映像配信サービスに向けたソフトウェアソリューションの早期実用化を目指すとしている。
HEVCは「High Efficiency Video Coding」の略で、「ITU-T H.265」(ISO/IEC 23008-2)として規格化されている。広く使われている現行のAVC/H.264規格と比較して、映像のデータ量を約2分の1に削減可能。4K(3,840×2,160ドット)、さらには8K(7,680×4,320ドット)といった超高精細映像配信サービスでの活用が期待されている。
ただし、HEVCによる映像圧縮は、映像を細かく分割したブロック単位で非常に多くの圧縮パラメータから最適な組み合わせを決定するため、膨大な演算処理を必要とする。4K映像は現在のフルHD(1,920×1,080ドット)解像度の4倍となることから、エンコード処理の効率化が課題とされていた。
東芝が開発したのは、汎用PCサーバ上で動作可能なソフトウェアベースのリアルタイム4K-HEVC圧縮技術。映像における時空間方向の性質を解析する独自の映像解析技術によって、圧縮パラメータの膨大な組み合わせを適応的に絞り込み、高画質を維持しながら演算量の低減を実現している。さらに、毎秒60フレームの4K映像を時空間方向に分割する並列処理の導入、および処理時間のばらつきを抑える並列化効率改善技術の開発によって、リアルタイム処理を達成した。
今回の技術によって、2台の汎用PCサーバを用いて4K映像の高画質なリアルタイム圧縮を実現でき、既存のクラウドシステムにおいても活用が容易となる。また、従来のHDTVから4K、8Kといった超高精細映像までスケーラブルに対応し、各種映像配信サービス固有の要求に対しても柔軟な対応が可能としている。