安倍晋三首相は6日、年頭の記者会見を行い、4月からの消費増税に対応して、5.5兆円規模の経済対策と1兆円の税制対策を実施すると表明した。

日本経済については、「1年前の危機的な状況から脱し、順調に回復軌道を歩んでいる」との見方を示し、「3本の矢によって日本経済はマイナスからプラスへと大きく転換した」と説明。

有効求人倍率は6年ぶりに1倍を回復したほか、中小企業の景況感も好転しつつあるとし、「この1年間で景気回復の裾野は着実に広がってきた」とアベノミクスの成果を強調。「デフレ脱却という勝利に向けて攻める番であります」と述べた。

また、「この春こそ、景気回復の実感を収入アップという形で国民の皆様にお届けしたいと考えています」と話し、さらなる景気回復に向けて、経済の好循環、収入アップの実現を目指すと明言。今年の通常国会を「好循環実現国会」と位置付けるとの考えを示した。

会見する安倍首相((C)内閣広報室)

消費増税への対応については、5.5兆円の経済対策と1兆円の税制対策を実施すると表明。「経済成長、デフレ脱却、それとともに、同時に財政の再建、これを一度に達成するよりほかに道はないと考えています」と話した。

企業収益の向上を賃金の上昇や設備投資につなげていくため、来年度から法人実効税率を2.4%引き下げると述べ、1兆円規模の税制措置として大胆な投資減税を講じるほか、賃上げ企業への減税の思い切った拡充を実施すると話した。

産業競争力強化法、国家戦略特区法などについては、今月に今後実行していく施策の実行計画を策定し、実施時期と担当大臣を決定する。同時に、さらなる構造改革を進めるため、今年半ばの成長戦略改定を目指し、雇用、人材、農業、医療、介護などの分野を中心とした今後の検討方針を明らかにすると述べた。

TPPについては、アジア太平洋の未来の繁栄を約束する枠組みであり、「まさに国家100年の計と考える」と表明。農産品のいわゆる重要5品目については、「攻めるべきは攻める、守るべきは守る」との方針で交渉に当たっているが、「国益をぶつけ合う中において、最終的な着地点をどう見出していくか、知恵を出して大局的な判断をする」と話した。

リニア中央新幹線については、「国家プロジェクトと言ってもいいと思います。政府としても様々な形でできることはバックアップをしていきたい」と述べた。