京都市は現在、元離宮二条城(以下、二条城)の本格修理事業を推進するため、「世界遺産・二条城一口城主募金」を募集している。

二条城は1603年、徳川家康が京都御所の守護と将軍上洛の際の宿泊所として築城。その後、3代将軍徳川家光の代に大修築を行い、1626年に現在の姿となった。二条城には当時の技術や文化の枠が結集され、国宝二の丸御殿内は、狩野探幽率いる狩野派の障壁画1,016面(重要文化財)をはじめとする豪華絢爛な装飾が施されている。また、大政奉還の舞台となるなど歴史的な価値も高く、1994年12月には世界遺産に登録されている。

しかし、二条城の建造物は古い物で400年以上を経ており、屋根瓦の欠損をはじめ、壁の剥落や軸部の腐朽等、文化財としての価値を失いかねないレベルの損傷が進行。さらに狩野派の障壁画についても、絵の具の剥落・退色、紙の劣化・亀裂・損傷等が著しく進んでいるという。

京都市では、二条城の保存を目的として、2011年度から20年間の予定で大規模な本格修理事業を行っている。修理事業の達成には約100億円の事業費がかかるため、市は2010年より「世界遺産・二条城一口城主募金」を開始。目標金額を50億円に設定し、国内外から寄付を募っているが、認知度が低く募金額は低迷している。市の広報を代行している共同PRによると、2013年10月31日現在の募金額は約1億2,000万円にとどまっているという。

修復作業の様子

京都市は「この壮大な本格修理事業を計画的に推進していくため、『世界遺産・二条城一口城主募金』へ国内外の有志の方々の温かいご支援を引き続きお願い申し上げます」とし、広く寄付を募っている。

「世界遺産・二条城一口城主募金」は、募金額に定めはなく、いくらからでも募金できる。募金方法は、銀行払込、インターネットでのクレジットカード決済、二条城での現金受付の3種類。なお、同募金は「ふるさと納税寄付金」と同様、確定申告により、所得税および住民税の寄付金控除を受けることができる。

募金を行った人には、金額に応じて入城証や1日城主抽選権といった特典を贈呈。このうち、100万円以上募金した人は無条件で1日城主になることができる。

詳細は京都市Webサイトまで。