タワーズワトソンは18日、2014年の昇給率を予測した「昇給率調査(Salary Budget Planning Report)」の結果を発表した。それによると、アジア太平洋地域の平均昇給率は2013年の実績とほぼ同率の7%となった。東アジアを牽引するのは中国とベトナム、上昇率が最も低いのは日本だった。

昇給率調査は、同社のデータ・サービス・プラクティス(TWDS)が1月と8月頃の年2回、毎年実施している。今回は、2013年7月および8月に世界100カ国以上で実施され、1万500以上の企業から回答が寄せられた。

東アジア地域における2014年の平均昇給率を見ると、中国は8.5%、ベトナムは11.5%と予測。インフレを考慮した場合、両国の上昇率は平均4.9%となった。このほか、香港とシンガポールの昇給率は同率の4.5%、インドは11%。一方、日本は最も低い2.3%だった。

調査に参加した企業の80%以上が、2014年の給与予算配分の全部もしくは大部分をハイパフォーマーに割り当てると回答。これについて同社は「アジア太平洋地域の企業は相応のスキルを持つ社員の獲得、繋ぎ止めともに困難であるという昨今の状況を裏付ける結果」と見ている。また、昇給凍結を見込む企業は、2013年では約4%だったのに対し、2014年は1%未満にとどまった。

インドネシアやスリランカ、インドシナなどアジアの新興諸国については、「高い昇給率の旗手であり、経済成長率が最も高い(6%~8.5%)傾向にある。しかし、インフレ圧力も強く(4.2%のカンボジアを除き5%~7%)、賃金上昇の大半を相殺する形となっている」と分析している。

アジア太平洋地域について産業別の平均昇給率を見ると、最も高かったのは製薬業界で7.3%と予測。他方、小売およびメディア産業は2013年から若干低下し、5.4%~5.7%と見込んでいる。

金融サービスの平均昇給率は地域平均で6.2%(2013年は5.7%)と、近年の低迷状態から抜け出しつつあることがうかがえる。特に高い伸びを示しているのは、中国(8.8%)、インド(10%)、インドネシア(9%)で、同地域の主要な金融センターであるシンガポール(4%)、香港(4.5%)、日本(2.3%)の2014年の伸びはこれらの国を下回った。

タワーズワトソン香港オフィスのタレントリワード部門ディレクターであるJeffrey Tang氏は「こうした高い昇給傾向は、同地域では今後も続く見通しですが、これには規制強化に対応するためのコンプライアンス部門の担当者の需要増や、企業が海外に打って出ることによる地域的拡大など、いくつかの要因があります」と分析している。