10月15日(現地時間)、Microsoftは公式ブログ「Blogging Windows」でWindows 8.1と統合する同社のオンラインストレージサービス「SkyDrive」に関するアピールを行った。記事はマーケティンググループのシニアマーケティングコミュニケーションマネージャーであるBrandon LeBlanc(ブランドン・ルブラン)氏の名前で投稿されているが、その内容はSkyDriveチームの開発マネージャーであるAdam Czeisler(アダム・ツェイスラー)氏が発したものだ。

Czeisler氏は「SkyDriveチームは過去2年間にWindows PhoneやXbox 360、iOS、Android、Windowsストアアプリなど、主要なプラットフォーム上のSkyDriveアプリをリリースしてきた。これにはWindows Vista/7/8やOS X用同期クライアントアプリも含まれる。ここで培った経験をWindowsチームのエキスパートたちと共有してきた」と延べ、これまでの成果を紹介した。

さらに同氏は、同期クライアントはJSON API(JavaScriptにおけるオブジェクト表記方を用いたデータ記述言語を、簡潔に記述するためのインターフェース)を用いてSkyDriveのサービスと通信し、オンラインストレージの各種サービスを実現しているという。このロジックはXbox 360のSkyDriveも同じだそうだ。その一方でWindows OSの同期クライアントは、独自の同期プロトコルを採用し、ファイルの作成や読み取りといったCRUD(クラッド:基本的なファイル操作を指す用語、Create/Read/Update/Delete)操作に制限している。

Xbox 360上で動作するSkyDrive(公式サイトより)

Windows 7上で動作するSkyDriveアプリ

JSON APIおよび独自APIいずれも長所と短所を併せ持っているが、エクスプローラーやWindowsストアアプリでSkyDriveの名前空間をオフライン環境でも閲覧可能にするため、Windowsチームと協力して実装した「スマートファイル(Smart Files:旧Placeholder)」だ。実体を持たずにメタデータのみで構成されるスマートファイルに対するアプローチは、オンライン/オフライン環境で完全なCRUD操作を実現し、SkyDriveチームが望んだ最適な設計だと同氏は語った。

「長年に及ぶWindows OSのファイルシステムは拡張性に富み、比較的少数の変更でSkyDriveとシェルの統合を実現できたのは、ファイルシステム構築に長く携わってきた人々の成果である。この経験はSkyDriveチームにとってすばらしいものだ」と述べ、Windows 8.1とSkyDriveの融合について述べている。Windows 8.1の場合、エクスプローラーによるSkyDriveへのアップロードは、ローカルファイルのそれと同じダイアログボックスで処理され、ファイル転送のスループットや残りのサイズが示されるという。

エクスプローラーによるSkyDriveへのアップロードシーン(公式サイトより)

さらにSkyDriveとOS(シェル)の融合では、パフォーマンスの改善に注力した、と同氏は述べる。Windowsチームのアドバイスにより、Windows OSが備える同期エンジンへの影響を抑えるため、ファイルシステムの変更を効率的に監視する「Change Tracker」と呼ばれるコンポーネントを追加。クラウドエクスペリエンスチームからのアドバイスにより、検索インデックにファイル転送ステータスを保存することで、必要なメモリー容量を軽減したという。

この他にも、今後SkyDrive上でサポートされる編集機能などにも触れているが、今回のようにMicrosoftの開発チームメンバーが、直接メッセージを発するのは珍しい。オンラインストレージの普及やデスクトップアプリからWebアプリケーションへの移行など、クラウド化が進みつつある現状でSkyDriveチームが同社の中で重要なポジションにいることを知り得る記事だ。興味を持たれた方は是非リンク先で原文をご覧頂きたい。