2004年にイラクで発生した「日本人人質事件」で、人質となった2人のその後を追ったドキュメンタリー映画『ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして』が12月7日から公開されることが、このほど明らかになった。

「イラク日本人人質事件」で誘拐・拘束された今井紀明さん(上)と高遠菜穂子さん

イラク戦争から10年が過ぎた。「イラク日本人人質事件」は、その戦争に関連して起こった事件で、イラク武装勢力がイラクに入国した3人の日本人を誘拐し、自衛隊の撤退などを求めた。当時の日本では、3人の軽率な行為が国に迷惑を掛けたとして「自己責任」が問われ、同時に3人は事件そのものとは関係のない誹謗、中傷を受けることとなる。

この映画は、図らずも人質となった高遠菜穂子さん、今井紀明さんの現在の姿を追うことで日本社会の問題点、そしていまだに戦火のやむことのないイラク、ファルージャの生々しい現実を伝える。イラクでの先天異常児は戦争以後も増え続け、また、撮影中のファルージャでは親米的な政府と対立する宗派の抗争が発生していた。

高遠さんは事件後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を乗り越え、再びイラク支援を続けている。一方、今井さんは高遠さんと同じくPTSDに5年間も悩まされ、対人恐怖症に苦しんだ。現在は、大阪での不登校やひきこもりなどの若者を支援するNPOの代表を務める。社会から拒否された存在を昔の自分と重ね合わせ、何かできないかと思い立ったという。

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