日本政府観光局(以下、JNTO)は21日、2013年7月の訪日外国人数(推計値)を発表した。それによると、7月の訪日外国人数は前年同月比18.4%増の100万3,100人と、初めて100万人を突破し、単月として過去最高を更新した。

訪日外国人数が増加した理由としては、夏の旅行シーズンによる需要拡大を背景に、訪日旅行の広告プロモーション効果、円安による割安感の浸透、航空座席供給量の増加などが、好影響を与えたと考えられる。

2013年7月 訪日外客数(JNTO推計値)(出典:日本政府観光局(JNTO)Webサイト)

国・地域別に見ると、台湾、香港、タイ、マレーシア、ベトナム、インドの6市場で7月として過去最高を記録。台湾は前年同月比48.7%増の23万8,500人、香港は同65.7%増の8万5,300人、タイは同84.7%増の3万200人、ベトナムは同59.4%増の7,300人、インドは同9.9%増の6,200人だった。このうち、台湾と香港は単月としても過去最高となった。

また、タイとマレーシアでは、7月1日より短期滞在査証の免除措置が講じられたことが追い風となった。

このほか、韓国は前年同月比28.6%増の24万4,000人、米国は同14.5%増の7万5,300人、イギリスは同19.4%増の1万7,400人、オーストラリアは同15.4%増の1万6,200人、フランスは同18.0%増の1万5,900人、カナダは同18.4%増の1万3,200人、シンガポールは同33.5%増の1万1,200人などとなった。一方、中国は14万人と前年より31.5%減少した。

各国の状況を見ると、台湾は、これまでビジット・ジャパン(以下、VJ)事業で実施してきた航空会社やクルーズ会社との共同広告、および旅行博出展などのプロモーションに加え、格安航空会社(LCC)の新規就航やチャーター便による航空座席の供給拡大により、高い訪日旅行者数を保っている。しかし、国内外の旅行需要の増加に伴い、国内の一部地域では宿泊施設などの供給が追い付かなくなっているという。

香港は、夏休みに入り、都市圏でのショッピングを目的とした旅行者に加え、テーマパークなどの施設を訪れる家族旅行が増加。また、地方都市(徳島、米子、長崎、鹿児島)へのチャーター便も運航されたことなどが、訪日旅行者数の増加に大きく寄与したと見られる。

カナダでは、VJ事業として、航空会社や旅行会社6社と連携したプロモーションにより、プロモーション運賃が設定されたほか、円安による割安感が訪日旅行者数の増加につながった。

フランスは、景気低迷が長引き、直前まで予約を入れない傾向(ラストミニッツ化)が高まっているという。JNTOは「ピーク期の夏の旅行シーズンに、円高の是正による日本での滞在費用の低減が、訪日旅行者を増加させている」と分析している。