帝国データバンクは26日、「防衛・自衛隊関連企業の実態調査」の結果を発表した。それによると、防衛関連組織と直接取引のある企業のうち、6割強が黒字を確保する堅調産業であることがわかった。

同調査は、同社の企業概要ファイル「COSMOS2」(143万社収録)および公開情報などから、防衛省や各地の自衛隊、防衛関連組織と直接取引のある企業(事業規模に対して取引比率が僅少なものは除く)を抽出し、業種、規模、業績動向などを分析したもの。

防衛省や自衛隊など防衛関連組織と直接取引のある企業は、全国で4,568社。戦車1台につき1,000社が関わっていると見られる武器・兵器製造部門のほか、予算の約4割に相当する人件・糧食部門に関わる産業も多かったという。

業種別に見た場合、無線機などの備品や基地・隊員向けの食品などを扱う「卸売業」が32.7%(1,492社)でトップ。以下、基地施設の維持工事などを行う「建設業」が29.1%(1,329社)、武器・装備品、兵器、缶詰・加工食料品などを作る「製造業」が14.8%(675社)と続いた。

2007年度~2011年度の決算数値が判明している4,329社について、同期間の業績動向を調べたところ、毎年約6割強の企業が黒字を確保していることが判明。しかし、黒字企業数は減り続けており、2007年度の69.4%から2012年度(参考値)は59.2%まで減少していた。

増収企業の件数推移を見ると、2007年度以降は毎期過半数を下回っていたが、2010年度以降は2期連続で増加。さらに2013年度は各種景気指標が回復しているほか、防衛予算のアップといった安倍政権下での防衛力強化政策などによる需要増から、防衛・自衛隊関連企業の業績も上向くと考えられる。

増収、黒字企業数と防衛予算推移

年商規模別では、「1億~10億円未満」の中小企業が55.1%(2,518社)で最多。次いで、「10億円~50億円未満」が19.7%(898社)、「1億円未満」が15.3%(700社)、「100億~500億円未満」が4.1%(187社)、「50億~100億円未満」が3.6%(165社)、「1,000億円以上」が1.5%(68社)、「500億~1,000億円未満」が0.7%(32社)となった。10億円以上の中堅・大規模以上が約3割を占めたほか、兵器を製造する国内4大重工などの「製造業」で年商1,000億円以上の割合が高かった。

業歴別では、「50~100年未満」が最も多く42.8%(1,954社)。戦前の創業は18.0%(821社)、「100年以上」の老舗企業も4.8%(218社)となり、防火装備の製造販売を手掛ける小林防火服(慶応3年創業)など旧軍時代からの取引先も多かった。

本社所在地を都道府県別に見たところ、1位は東京都の24.0%(1,097社)、2位は北海道の12.1%(552社)、3位は神奈川県の8.4%(383社)となった。