国立がん研究センターなどの研究グループは21日、牛肉や豚肉など赤身の肉を多く食べる男性は、あまり食べない男性と比べて、糖尿病になるリスクが高くなるとの研究結果を発表した。

研究グループは、全国の45~75歳の男女約6万4,000人を対象に約5年間追跡調査を実施。この調査結果に基づき、肉類の摂取と糖尿病発症との関連について分析したものを、英国の専門誌「British Journal of Nutrition」のWebサイトに先行発表した。

研究では、1日当たりの肉類の摂取量に応じて4つのグループに分類し、糖尿病発症との関連を分析。なお、分析の際は、肥満や喫煙、飲酒といった肉類摂取以外の糖尿病発症に関係する影響をできる限り取り除いたとしている。

その結果、男性では肉類全体の摂取量が多いグループ(1日当たり約100g以上、中央値108g)で、糖尿病の発症リスクが高くなったことが判明。摂取量が最も少ないグループ(中央値23g)に比べると、最も多いグループで糖尿病リスクが1.36倍高くなっていた。さらに、肉の種類別に分析したところ、男性で赤身肉(牛肉・豚肉)の摂取量が多いグループは、摂取量が少ないグループより、糖尿病リスクが1.42倍に上昇していた。一方、加工肉(ハム・ソーセージなど)や鳥肉については、糖尿病リスクとの関連はみられなかった。

肉類の摂取と糖尿病発症リスクとの関連(出典:国立がん研究センターWebサイト)

赤身肉を多く摂取する男性の糖尿病リスクが高くなる理由としては、肉に含まれるヘム鉄や飽和脂肪酸、焦げた部分に含まれる糖化最終産物(AGEs)やヘテロサイクリックアミンが、血糖値を抑制する働きをするインスリン感受性やインスリン分泌に悪影響を与える可能性があるという。

ハム、ソーセージなどの加工肉摂取については、最近のメタ解析(多くの研究を統合した解析)結果において、糖尿病リスクの上昇が報告されていたが、今回はそのような関連は確認されなかった。これは、日本人の加工肉摂取量が欧米に比べて少ないためと推測される。

なお、女性の場合は、いずれの分析結果においても肉類摂取と糖尿病発症との関連は見られなかったという。