東京商工リサーチは8日、「2013年 主な上場企業の希望・早期退職者募集状況調査」の結果を発表した。同調査は、上場企業を対象に2013年1月以降、希望・早期退職者募集の実施について情報開示し、具体的な内容を確認できた企業を抽出したもの(希望・早期退職の実施に至らない企業、子会社は除く)。資料は、原則として会社情報適時開示の「会社情報に関する公開資料」(2013年4月5日公表分まで)に基づいている。

それによると、2013年4月5日までに希望・早期退職者募集の実施を公表した主な上場企業は34社で、3カ月余りで年間63社だった前年の半数以上に達した。産業別に見ると、最も多かったのは富士通、ルネサスエレクトロニクス、ロームなどの電気機器で9社。次いで、化学、機械、サービス、非鉄金属が各3社となった。

主な上場企業の希望・早期退職者募集状況

募集人数については、ルネサスエレクトロニクス(グループ会社を含む)が最多で3千数百人。以下、日本無線の650人、NTN(グループ会社を含む)の600人、富士通の300人、ロームの250人(応募219人)、三陽商会の230人、JUKIの200人(同234人)、タムラ製作所の200人(グループ会社を含む、応募213人)、淺沼組の150人(応募94人)、タカラトミーの150人(グループ会社を含む、応募138人)と続いた。募集人数が100人以上の企業は、判明した34社のほぼ半数に当たる16社となった。

2013年の希望・早期退職者募集の状況は、年初に急増したものの、円安や株価上昇など国内景気に改善の芽が出てきたこともあり増加ペースは鈍化。しかし、円安効果は輸出企業が中心で、内需型産業などの業績反映には時間がかかるほか、リーマン・ショックや東日本大震災などの後遺症を引きずる企業も依然多い。東京商工リサーチは「当面はコスト削減を目的とした人員削減に取り組む企業が、業種によりまだら模様ながら引き続き出てくると見られる」と分析している。

さらに、業績が回復した企業でも将来ビジョンを見据えて、収益構造に相応しい最適人員化に向けて動くと思われ、東京商工リサーチは「上場企業の希望・早期退職者募集は前年を上回る可能性が高い」と推測している。