日本政策投資銀行は18日、レポート「シェールガス革命の見方(産業界への影響と日本への示唆)」を同社Webサイトにて公表した。それによると、米国産シェールガスがすべて米国ガス価格連動となって日本へ輸出された場合、2020年時点における日本の液化天然ガス(LNG)平均調達価格は、現状より約15%の低減が見込まれるという。

シェールガスとは、固い頁岩(シェール)層から採取される非在来型の天然ガスの一種。シェールガス田では、シェール層と抗井の接触面を増やす水平掘削と、岩盤に水圧で亀裂を入れて天然ガスの流路を確保する水圧粉砕により採取する。2000年代以降、これら2つの技術が実用化されたことで、採掘コストの低下と大規模生産が実現した。

同レポートによると、米国では2000年代以降、シェールガスの商業生産が本格化。2011年の天然ガス生産量は2000年比20%増と急拡大し、価格も大幅に低落したという。今後もシェールガスの生産は増える見込みで、2040年の天然ガス生産量は2011年と比べて約44%増加すると予測。また、米国内の天然ガス生産量が急拡大したことで輸入量が減少し、2011年には全輸入金額に占める天然ガスの割合が2000年の1.0%から0.6%まで下落している。今後、米国は2020年頃に天然ガス純輸出国となり、2040年には天然ガス貿易収支で約450億ドルの黒字となると予想されている。

なお、米国からの天然ガス輸出に関しては、同国エネルギー省の輸出許可が必要となっており、さらにFTA非締結国への輸出許可については、米国の利益を害さないか個別審査が実施される。日本に関しては、現在申請中の16件のFTA非締結国向け輸出プロジェクトについて、近く個別に判断がなされる見通しとなっている。

同レポートでは、日本企業が関与する米国LNG輸出プロジェクト(契約量合計1,470万トン、予定含む)の許可が下り、米国ガス価格連動とする調達契約が実現したと想定。それによると、米国からの輸入分等を米国ガス価格連動で調達した場合、2020年時点の日本のLNG平均調達価格は、現状と比べて6.8%減少すると予測。これに加え、新規契約(既存契約の更新含む)の全量を米国ガス価格連動で調達した場合、2020年の日本のLNG平均調達価格は、同15.2%低減する見込みだという。

日本のLNG調達価格への影響(2020年時点)(出典:日本政策投資銀行Webサイト)