貸金庫に何を入れますか?

スパイ映画や海外ドラマなど、フィクションの世界では、お金持ちや特殊組織が貸金庫を利用するシーンが登場することがある。そこでは国家機密のデータや国宝級の貴金属、土地の権利書といった重要書類を預けることが多い。そのため、貸金庫は「特別なもの」というイメージがあり、身近に感じられない人も多いのでは?

しかし、東日本大震災以降、若い会社員など、一般ユーザーの貸金庫利用が増えているという。一体、貸金庫に何を預けているのだろうか。

そこで、マイナビニュース会員811名に貸金庫についてのアンケートを実施。貸金庫を活用するなら何を入れるか調査した。

貸金庫って、何を入れるの?

「これまで個人的に貸金庫を利用した経験はありますか」

まずは、貸金庫の利用状況について調査。「これまで個人的に貸金庫を利用した経験はありますか」と尋ねたところ、「ある」と回答したのはたったの3.6%。ほとんどの人は利用経験がないようだ。

続いて、貸金庫のイメージについて質問したところ、「高い(52.6%)」「手続きがめんどう(44.0%)」という意見が上位を占めた。「大切なものを預けるところ(41.5%)」「お金持ちが利用する(41.2%)」というイメージも支持が高い。

「貸金庫はお金持ちが使うもの」というイメージだが、実際はどうなのだろうか?

「貸金庫に対してどのようなイメージがありますか」

そこで、京葉銀行柏の葉キャンパス支店の松本さんに、貸金庫の現状について教えていただいた。

京葉銀行柏の葉キャンパス支店・松本さん

貸金庫はお金持ちだけのものではない!

――貸金庫は、お金持ちが利用しているのでしょうか?

松本さん「確かに、高齢の富裕層が利用することをイメージされる方も多いのですが、実際は、20~80代まで幅広い年代の方が利用されています」

――でも、利用料金ってお高いんですよね?

松本さん「当行の場合、月額2,362円(指静脈認証システム全自動貸金庫の場合)からとなっております。1日当たり約77.9円(2,362円×12カ月÷元日を除く364日)ですし、ポイントサービスをご利用いただくとさらに25~35%割引になります」

――意外と安いんですね!

松本さん「ありがとうございます。貸金庫ボックスは小型(月額2,362円)、中型(月額3,045円)、大型(月額3,780円)の3サイズがございます。

奥行き(345~409mm)と幅(255~287mm)はすべて同サイズですが、高さは小型57~77mm、中型94~137mm、大型132~197mmです。

通帳や実印、パスポートなど、小さいサイズのものなら小型で十分ではないでしょうか。卒業アルバムなど厚みのあるものの保管には中型、さらに厚みのあるものや大きい箱に入ったものをお預けになるなら大型をおすすめしております」

預けるものによって選べる3サイズ

――預けるものに合わせてサイズが選べるんですね。

松本さん「ちなみに、最近は、専用カードと指静脈認証システムによって本人確認を行い、専用ブース内にお客さまの貸金庫を自動でお届けする指静脈認証システム全自動貸金庫もあります。行員による受付や立会はありませんし、プライバシーが保護された空間で物品の出し入れを自由に行っていただけるんです」

指静脈認証システム全自動貸金庫について丁寧に教えてくれた松本さん

貸金庫は大人の秘密基地

とはいえ、説明されただけだとイマイチ実感がわかないので、実際に貸金庫の中を見せていただいた。

貸金庫コーナーは契約者しか入ることができない

入り口のすぐ近くに専用ブースを設置

まずは入り口。貸金庫コーナーの入り口は、カード認証になっているので専用のカードでドアを開ける。

ブースの開錠もカード認証になっている

ゆったりとしたスペースが広がる専用ブース

中に入ると部屋があり、部屋のドアは鍵がかかっているため、先ほどの専用カードで解錠する。

専用カードと指静脈認証システムのWチェックでセキュリティーを強化

ようやく部屋に入室。部屋の中は、完全個室のプライベート空間。各支店で部屋数は違うそうだが、取材した柏の葉キャンパス支店の専用ブースは4つ。

では、貸金庫を呼び出してみよう。貸金庫を呼び出すには、先ほどドアを開けた専用カードをカードリーダーに挿入し、指静脈認証リーダーに指をかざせばよい。指静脈認証は、指をケガしたら使えなくなりそうだが、事前に複数の指を登録するので大丈夫だそう。

ブース内に自分の貸金庫ボックスが届けられる

専用キーを使って開錠。全部で3つのカギがある強固なセキュリティー

上記のような認証がすべてOKとなると、ようやく「ウイーン」という音とともに、貸金庫のボックスが自動で運ばれる。

ボックスの鍵を閉めてから「返却」ボタンを押す

最後、利用後にボックスの鍵を閉めて「返却」ボタンを押せば、自動的に格納されて終了。

実際使ってみた感想だが、部屋は1人で使うのに十分広いので、貸金庫の中を悠々と確認できるし、誰にも会わずに利用することが可能なので、誰にも見られたくないものを入れていたとしても、安心して使える。

ちなみに、営業時間は元日を除く毎日8:00~21:00(入室は20:40まで)で、土日祝も利用可能。

利用規約の範囲内なら何を預けてもOK

ところで、実際に貸金庫を利用している人たちは、何を預けているのだろうか。引き続き松本さんに話をうかがった。

――利用者の皆さんは、実際にはどのようなものを入れているのでしょうか?

松本さん「銀行員は、お客さまが何を保管しているか中身を見ることはできません。ただ、窓口に相談に来られる方の中には、貴金属や土地の権利書を預けたいという方は多いですね。最近では、ご家族のアルバムや切手などのコレクションを預ける方もいらっしゃるようです」

――写真を貸金庫に預ける人もいるのですか?

松本さん「はい。東日本大震災では写真もすべて流されてしまった様子がテレビでも報道されました。その影響か、大切な思い出の品を貸金庫に預ける方は増えているようですね。

当行では、ご契約いただいた貸金庫のサイズの範囲内で、危険物や食品などの変質の恐れがないものであれば自由にご利用いただけます」

「思い出の品を預けたいというお客さまは増えているようですね」(松本さん)

なるほど。家族に内緒でヘソクリを隠すこともできるし、プライバシーが守られているので昔の恋人からの手紙やプレゼントをこっそり保管することもできる。重要書類や思い出の品だけでなく、「誰にも見られたくないもの」を預けるのもいいかもしれない。

ちなみに、アンケートで「貸金庫に入れてみたいもの」も調査したので、それらが預けられるかも聞いてみた。

――読者からのアンケートでは、未来の自分への手紙など、タイムカプセルとして使いたいという回答がありました。

松本さん「自分へのメッセージを預けていただくのもおもしろいですね。日記や手帳などを預けていただいて、後で読み返してもいいかもしれません」

――続いて「奥さんや恋人に秘密の思い出をしまっておく」という意見もありました。

松本さん「ユニークなご利用方法ですね。指静脈認証システム全自動貸金庫ではプライバシーが確保されていますので、自分だけの秘密基地としてご利用いただけるのではないでしょうか。なお、貸金庫コーナーにはラウンジもありますので、預けたものをゆっくり、こっそりながめるのもいいと思います」

ラウンジは木目調で落ち着いた雰囲気

――仕事関係の機密書類や個人情報の入ったUSBメモリーを預けたいというコメントも多かったですね。

松本さん「貸金庫は営業時間内ならいつでも取り出しできますので、重要な書類を預ける方も多いようです。海外出張のときなど、帳簿やカギを一時的に預けておけば安心していただけるのではないでしょうか」

――コレクション系では、記念コインや記念切手、骨董品なども人気がありました。

松本さん「大事なコレクションを保管する方もいらっしゃるようです。盗難や紛失のリスクを避けることができますね」

貸金庫は通帳や貴重品、書類だけでなく、思い出の品を預けるなど、さまざまな利用法があることがわかった。しかも、月額2,000円台の利用料で貸金庫が借りられるとは意外だったが、ポイントサービスでさらに安くなることもわかった。

アイデア次第で利用方法はいろいろありそうなので、大切なものや、思い出の品、誰にも知られたくないものなどがある人は、ぜひ利用してみてはいかがだろうか?

今回お話を聞いた銀行
京葉銀行は、千葉県千葉市中央区に本店を置く銀行。通称は「αBANK(アルファバンク)」。今回の貸金庫貸金庫についての動画ポイントサービスについては公式ホームページまで。
※記載の内容については、2013年1月31日現在のものです。