日本マイクロソフトは1月28日、次世代のUI(ユーザーインターフェース)として注目を集めているNUI(ナチュラルユーザーインターフェース)に関する説明を行った。同社の最高技術責任者兼マイクロソフトディベロップメント代表取締役社長である加治佐俊一氏は、始めにKinect for Windowsを中心としたNUIの可能性を語りつつ、日本国内での実用例を紹介した。

非接触型画像操作システム「Opect(オペクト)」や障がい者活動支援ソリューション「OAK」、リハビリ治療にゲーミフィケーションを取り込んだ「リハビリウム起立くん」、人流計測システム「Hello Counter」が医療現場などで利用されているという。同氏やマイクロソフトディベロップメントの社員が、各サービスのデモンストレーションを実際に行った。このような取り組みは同社が把握しているだけでも、国内で150以上のプロジェクトが稼働中だという。

また、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)に対するNUIの特徴として、表現や環境といったコンセプトを説明。同氏は「NUIの本質はビッグデータに代表される膨大なデータを活用し、より適切なデータを取り出せる機械学習にある」と述べた。

その他の実用例としてMicrosoft社内で試験的に導入されているシャトルバスの手配システムを紹介。Kinect for Windowsによる認知システムと音声合成やデータベースを組み合わせ、システムを構築しているという。また、同システムでは服装の認識や相手が苛立っているかなどの判断をしながら、コンピューターが発する音声合成の内容を変化させる仕組みも備えている。

これらの技術をベースにしたMicrosoft Researchに関する説明や、プロジェクターを使用し、ディスプレイの外にも映像を描画して立体的な演出を加える「IllumiRoom(イルミルーム)」や3Dオブジェクトのリアルタイムスキャニングを可能にする「Kinect Fusion」の説明も行った。前者に関してはSIGCHI(Special Interest Group on Computer-Human Interface)が開催するCHI2013で発表され、後者は近日中に同機能をサポートするKinect for Windows SDKをリリースする予定だという。

NUIに関する説明を行う加治佐俊一氏。自身の顔を使って「OAK」のデモンストレーションを行っていた

リハビリ治療にゲーミフィケーションを取り込んだ「リハビリウム起立くん」

GUIとNUIを対峙(たいじ)させた場合に現れる各UIの特徴

Microsoft社内で試験的に導入されているシャトルバスの手配システム

Microsoft Researchが開発したKinectとプロジェクターを利用してスクリーン映像を拡張する「IllumiRoom」

3Dオブジェクトのリアルタイムスキャニングなどをサポートする「Kinect Fusion」