朝シャンで抜け毛が増える?

髪を洗う度に抜け毛が増えると心配になりますよね。薄毛対策のために刺激の少ないシャンプーを選んだり、頭皮をマッサージするなど、ヘアケアに気を使う方も多いのではないでしょうか。

正しいヘアケアを知るため、薄毛治療を専門とする「銀座HSクリニック」の院長・北嶋渉先生に、薄毛対策に効果的といわれるヘアケアの真偽について教えていただきました。

頭皮の脂を除去すれば抜け毛が減る――△
過剰な皮脂は毛穴づまりの原因になりますが、皮脂を取り除くだけで抜け毛を改善することは困難です。また、皮脂を取りすぎると頭皮を傷めてしまいます。男性の薄毛のうち、実に95%はAGA(男性型脱毛症)と言われていますが、AGAの場合、抜け毛と皮脂に因果関係はありません。

朝シャンをすると抜け毛が増える――△
朝の洗髪が抜け毛の直接的な原因になることはありません。ただ、洗髪に時間をかける余裕がなくてすすぎが十分にできず、洗い残しが抜け毛の原因になることはあります。

薄毛対策のためには、ドライヤーを冷風に設定するといい――×
ドライヤーの熱風は、切れ毛の原因になることはありますが、薄毛にはほとんど影響しません。熱風、冷風どちらを使っても大丈夫です。

抜け毛を気にして自然乾燥する方もいらっしゃいますが、髪がぬれた状態で寝てしまうのは厳禁。蒸れてしまい、頭皮のトラブルの原因になってしまいます。

シャンプーブラシで頭皮を洗うといい――×
髪を無理に引っ張ってしまったり、頭皮を傷めてしまったり、抜け毛の原因を作りやすくしてしまいます。シャンプーブラシそのものが悪いわけではありませんが、力加減が難しいので、指の腹を使って洗う方がいいですね。

ヘアブラシで頭皮をたたくと毛が生える――×
血行促進のためか、カウント機能のついたヘアブラシで頭をたたいているという患者さまがいらっしゃいました。たしかに、育毛剤の有効成分を浸透させるためにヘッドマッサージなどで血行促進することは効果的ですが、このやり方は意味がありません。頭皮を傷つける原因にもなるので止めた方がいいでしょう。

髪を洗うたびに100本抜けても問題ない――○
髪は5~10年サイクルで生まれ変わります。ですので、健康な方は毎日50~100本抜けても問題ありません。また、毛根つきで抜けていても大丈夫です。

ただし、細い毛が多く抜けている場合は注意が必要。髪は細い髪から太い髪へとなるのですが、細い髪が抜けたということは、まだ生えて間もない髪が抜けたということです。薄毛かどうかは、抜け毛の量よりも「質」を重視してください。

育毛シャンプーを使えば発毛する――×
育毛シャンプーは頭皮の環境を整えるものなので、シャンプーだけで毛が生えるということはありません。ただ、フケやかゆみ、炎症を抑え、制菌効果のあるものを選べば、抜け毛予防には効果が期待できます。

若年齢の薄毛は治りやすい――○
確率の話になりますが、男性の薄毛の原因として95%を占めるAGAは、男性ホルモンや遺伝が主な原因とされています。特に近年は大きな要因として、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンが注目されています。この生成を抑えることができれば、AGAによる薄毛を治すことができます。

つまりAGAが原因であれば、治療は比較的男性ホルモンが高い若年齢ほど、効果が望みやすいといえるでしょう。

ちなみにAGAには、フィナステリドという内服薬が有効です。女性には使用が禁止されていますが、男性患者の98%に効果が認められています。また、ミノキシジルという成分が配合されている育毛剤も、フィナステリドの内服薬と並び高い効果が実証されています。

薄毛にも様々な原因がありますが、生え際や頭頂部が薄くなってきた場合はAGAが疑われます。AGAは早期発見、早期治療によって改善することができます。薄毛が気になる方は、早めに専門医へ相談しましょう。