EPEATは6日(米国時間)、米Appleが製品のEPEAT登録を取り止めることを明らかにした。EPEATのデータベースに登録されているApple製品を取り下げ、また今後EPEATに製品を申請しないとAppleが通知してきたという。EPEATのWebサイトでは、すでにApple製品が検索対象から外れている。

EPEAT(電子製品環境アセスメントツール)は電子製品が環境に与える影響を総合的に評価し、格付けしたデータベースを作成している。パソコンとディスプレイの評価基準は、材料、製品寿命、エネルギー効率、リサイクルに適したデザイン、リサイクル・サービスなど51項目。基準を満たした製品は「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」のいずれかに認定される。

AppleはiMacやMac mini、Macbook Airなど、数多くの製品でEPEATゴールドを獲得していたが、リサイクルに適したデザインでEPEATとの溝が深まっていた。EPEATは簡単に分解してパーツをアップグレードまたはリサイクルできるシステムを高く評価するが、近年AppleはMacをユーザーが分解できない統合的なシステムにすることで優れた利用体験やスリムなデザインを実現してきた。例えば、以前はユーザーが交換できたMacBookのバッテリーが内蔵になり、最新のMacBook ProのRetinaディスプレイ・モデルはディスプレイの取り外しが困難な設計になっている。EPEATのCEOであるRobert Frisbee氏はWall Street Journalの取材に対して「Appleのデザインの方向性がEPEATの要求と一致しなくなったと彼らは述べいていた」と語っている。

EPEATの認定システムはシンプルで分かりやすく、また評価基準が一定の信頼を獲得しており、EPEAT認定を製品購入の条件にしている学校や政府機関、企業も多い。EPEAT評価を否定することは、特にAppleが重視する教育市場においてデメリットになり得る。ただしAppleは環境対策を軽視している企業ではない。同社はWebサイトに「Appleと環境」という専用ページを用意し、BFR不使用、PVC不使用、ヒ素不使用(ガラス)、ENERGY STAR準拠、高いリサイクル効率、パッケージの小型化など、製品が環境に与える影響を軽減する包括的な取り組みをアピールしている。EPEATの評価基準がポストPC時代にそぐわないとするAppleと、ポストPC製品の特徴の1つである"統合"が環境に与える影響に慎重なEPEATが対立している形だ。