直木賞作家、井上荒野の小説『つやのよる』が阿部寛主演で映画化されることが15日、明らかになった。

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同作は、『切羽へ』で直木賞を受賞した井上荒野の同名小説が原作で、22人の"艶男"と"艶女"たちが織り成す恋愛群像劇。『GO』 、『世界の中心で愛を叫ぶ』などの行定勲監督がメガホンを取る。艶(つや)という女と駆け落ちして伊豆大島に移住してきた松生。妻の不貞に悩まされ、何度裏切られても献身的に妻を愛してきたが、艶が癌に冒され、昏睡状態に陥った。そこで松生に、艶が関係を持った男たちに艶の死を知らせるという考えがひらめく。松生は、男たちを訪ねるが、艶という女性の危篤を知らされた夫の、恋人の、父のそれぞれの様子から艶との肉体関係に感づいてしまう女たち。自分たちの人生に突然割り込んできた艶という女性の存在に女たちは困惑する――という内容になっている。

主人公の松生を演じる阿部は「いままでやったことがない世界観の作品を存分に味わいたい。行定監督の妥協せずまじめに作品に取り組む、その世界にどっぷりつかって楽しみたい」と意気込みを。行定監督は「原作を読んだ時に阿部寛さんのことが頭をよぎりました。不貞を犯す妻を真面目に実直に愛する姿がぴったりだと思ったからです」と起用理由を明かし、「実際にお会いした阿部さんの印象はまさに私の思い描いていた通りでした。阿部さんの醸し出すユーモアが大好きです。それがこの映画のエッセンスになればいいなと思っています」と語っている。発表はこれからだが、豪華俳優陣のキャスティングも注目だ。

撮影は6月1日よりスタート。7月中旬まで撮影を行い、映画の完成予定は10月を予定。公開は2013年新春を予定している。