財務省は9日、海外とのモノやサービスの取引や投資の状況などを示す2月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、2月の経常収支は1兆1,778億円で、1月の4,373億円の赤字から2カ月ぶりに黒字に転換した。

平成24年2月の経常収支(出典:財務省Webサイト)

貿易収支は、5カ月ぶりの黒字となる1,021億円(前年同月比6,182億円減)。これは、米国向け輸出の増加などにより、輸出の減少幅が縮小したことが要因とみられる。なお、前年同月比でみた場合は、欧州・中国向けを中心に輸出が減少したとともに、鉱物性燃料の価格上昇などにより輸入が増加したことから、黒字幅が縮小している。

輸出額は5兆2,477億円で前年同月比1,044億円の減少、輸入額は5兆1,456億円で同5,137億円の増加。なお、輸出は前年同月比で5カ月連続の減少、輸入は同26カ月連続の増加となる。

また、同省関税局がまとめた2月分貿易統計によると、輸出では、対アジアが前年同月比6.6%減でうち対中国が同14.0%減、対EUでは同10.7%減となった。一方、対米国は同11.9%増加している。商品別では、鉄鋼が同12.6%減、鉱物性燃料が同38.7%減、プラスチックが同17.2%減などとなったのに対し、自動車は同7.4%増えた。

輸入については、対中東が前年同月比14.1%増、対アジアが同5.8%増でうち対中国は同0.4%減、対アフリカが同96.0%の増加。商品別では、液化天然ガスが同53.8%増(数量は22.5%増)、原祖油が同15.5%増(同1.8%増)、通信機が同59.8%増などとなっている。

サービス収支は、1,304億円の赤字で赤字幅は9カ月連続で拡大(前年同月比4,570億円増)。これは、出国日本人数が増えたことなどから、「輸送収支」および「旅行収支」が赤字幅を拡大したとともに、「その他サービス」の黒字幅が縮小したことが主因と考えられる。訪日外国人旅行者数は、前年同月比19.3%減の54万8,200人で、出国日本人数は同12.9%の157万人。

所得収支は、1兆2,430億円の黒字(前年同月比465億円増)。再投資収益の受取増加を主因として直接投資収益が増加したことなどから、所得収支の黒字幅は11カ月連続で拡大した。

経常収支の推移(出典:財務省Webサイト)

経常収支の推移※季節調整済(出典:財務省Webサイト)

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