「James Dyson Award 2011」。国内1位は電磁誘導を利用した電源タップ

ダイソン株式会社が提携している教育慈善団体、ジェームズ・ダイソン財団が主催する「James Dyson Award 2011 (ジェームズ ダイソン アワード)」の日本最優秀賞を含めた国内優秀作品10作品の授賞式が、2日、東京・渋谷区で開催された。

James Dyson Award公式サイト

「James Dyson Award 2011」は、想像力や独創性を称えることを目的にして開催される国際デザインアワード。デザインやエンジニアリングを専攻する学生や卒業生を対象にしており、今年度は世界18か国で550以上の応募があった。

また、審査方法としては、各国の国内審査通過作品が国際審査に進むことができ、各国の国内最優秀賞受賞者(1名)には、賞金約13万円が寄贈され、国際審査で選ばれた最優秀賞受賞者(1名)には、ジェームズダイソンアワード・トロフィー、受賞者に賞金約130万円が寄贈される。

日本国内の第一次審査は、山中俊治(プロダクトデザイナー)、下川一哉(『日経デザイン』編集長)だった。

授賞式には、山中俊治氏と日経デザイン編集長の下川一哉氏が登場した。

山中俊治氏は「ダイソンには、既存の家電を改良するのではなく、ゼロから作りあげてゆく精神がある。この賞も、ゼロから創り上げようとする人だけでなく、その精神を育成する学校を応援するもの。今回の作品はいずれも甲乙付けがたいもので、10位以内の差異はほとんどない」と苦労したという審査時を振り返った。

山中俊治氏(プロダクトデザイナー)

同じく審査員の下川一哉氏は「このアワードでは、身近なものから問題点を発見し、解決のアイディアを求め、デザインに落としこみ、的確なプレゼンを行うという、デザイナーとして働いてゆくためには必須のスキルが求められる。今日の受賞者たちも山中氏のようなデザイナーになってほしい」と語り、いずれも受賞者の今後の活躍に期待をよせた。

下川一哉氏(『日経デザイン』編集長)

また、授賞式では、国際審査へ選出された上位3作品のプレゼンテーションが行われ、国内審査トップ10の作品に賞状と記念品が贈られた。

下記、上位3作品の作品内容と受賞者のコメントを紹介する。

まず、国内最優秀賞を受賞した「E-leaf」。

国内最優秀賞受賞作品「E-leaf」

電磁誘導を利用することで、既存の電源タップが持つタコ足配線などの問題点をスマートにクリアする、植物の葉をモチーフとしてデザインされた作品。

手がけた京都工芸繊維大学4年の岩松直明氏と建井信人氏は声をそろえ「それぞれの専攻科を超え、協力して制作する最後の機会として参加した。まさか受賞できるとは思わなかった」と受賞の喜びをあらわにした。

京都工芸繊維大学4年の岩松直明氏と建井信人氏

次は、国内2位の作品に選出された「移動、展開で空間機能を切り替える家具」。

国内2位作品「移動、展開で空間機能を切り替える家具」

1Kの狭い住宅内でも家具の形状を変えることで、豊かな空間を作り出すことができる可動・収納家具。この作品は、国際最優秀賞候補のファイナリストとなっている。

また、この作品は、博士課程へ進むために制作した作品だったという東北芸術工科大学大学院の手島信洋氏は「日本人ならば可動・収納家具の必要性や便利さを理解しやすいが、海外の方にも理解され、評価いただけたことがうれしい」と語った。

東北芸術工科大学大学院の手島信洋氏

最後、国内3位の作品となった「エス・ウォーカー」は、人間の足を模した杖状の作品。

国内3位作品「エス・ウォーカー」

受動歩行のロボット技術と義足研究の技術を融合させ、「杖使用を屈辱」と捉える高齢者の心的負担を取り除き、寝たきり予防となる歩行機会を増やすことを目的に制作された。

普段、義足の部品設計に携わっている制作者の鈴木光久氏は「純粋にうれしい。受動歩行の技術は、実際にリハビリ支援などの可能性が見えはじめている。ぜひエス・ウォーカーも続きたい。共同研究いただいた名古屋工業大の佐野明人教授に感謝したい」と喜びを噛み締めた。

「エス・ウォーカー」制作者の鈴木光久氏

国内審査トップ10の作品は以下のとおりとなっている。

順位 作品名 制作者
国内最優秀賞 「E-leaf」 岩松直明氏、建井信人氏(京都工芸繊維大学 デザイン経営工学専攻)
2位 「移動、展開で空間機能を切り替える家具」 手島信洋氏(東北芸術工科大学大学院 芸術工学研究科芸術工学専攻)※国際最優秀賞候補Top20選出
3位 「エス・ウォーカー」 鈴木光久氏(名古屋工業大学大学院 工学研究科産業戦略工学専攻)
4位 「Pedal Faucet」 姫野剛氏、星野創一朗氏、宮口裕基氏(千葉工業大学大学院 工学研究科 デザイン科学専攻)
5位 「TETRA LOCK」 小林仁太氏(多摩美術大学)
6位 「Q-aid」 橋本真実氏(京都市立芸術大学 美術研究科デザイン専攻(プロダクト・デザイン))
7位 「プチプラネット」 赤羽進亮氏、Leu,Johnson氏、中山沙織氏、菅健太氏(慶応義塾大学 大学院メディアデザイン研究科)
8位 「Unpuzzle Me」 Jiwon Hong氏(多摩美術大学)
9位 「コンパスライト」 黒田達朗氏(Design Academy Eindhoven,Man and Humanity)
10位 「RAIN ROOF」 相川雄規氏(名古屋工業大学 工学部 建築・デザイン工学科 木村徹研究室)

受賞作品の詳細はこちらから見ることができる。また、「James Dyson Award 2011」の国際最優秀賞の発表は11月上旬の予定。

(文/エフスタイル)


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